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お兄ちゃん大好き30

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「だからねーーうーーんとね……」

 そうなかなか話さない疾風に若干イライラとしてくるのだが、疾風がどんなバイトにしたかを聞いた瞬間、翼は目を見開くのだ。

「だからねーーネットでバイト探しをしてたらさーーいつの間にか、何だか怪しい感じになってきていてーーま、ちょっとオイシイバイトかもーーって思って応募してみたら、なんと! 合格しちゃった訳ーー」

 そう話す疾風に翼は未だになんとなくでしか聞いていないのか、それとも興味がないのか机に肘を当て顎に手を当て聞いていた。

「……で、どんなバイトに合格したんだ?」

 疾風は「よくぞ! 聞いてくれました!」と言う表情をすると、

「えーぶぃ男優……」

   の言葉に翼は転けそうになる。

「た、確かに俺は何かバイトしろ! とは言ったけどさーー流石にそれはないだろーー」
「でも、一応、仕事だよーー。 お兄ちゃんが何かバイトしろって言うからちゃんと見つけたんだしーー。 それに、お金はいいし!」
「だ、だけどさーーそ、それは……ある意味……浮気で……」

   流石に言いにくそうに翼は言葉を繋ぐ。

「ん? 大丈夫! そこはちゃんと考えているよ! だって、前に言ったじゃん! 僕はお兄ちゃんしか見てないって……」
「ま、確かにそれは聞いたけど……。 じゃ、何でそんな仕事を見つけて来たんだよーー」
「だから、お兄ちゃんも一緒にやればいいんじゃない?」

 その疾風の言葉に今度は飲んでいた飲み物を吹き出す。

「……へ?」
「お兄ちゃんと一緒にやるなら浮気にはならないでしょーー。 しかも、お兄ちゃんの言う通り仕事をしてることになるしーー」

 これなら文句ないでしょ? という言葉も付け足す疾風。

 確かに翼が言った条件は満たしている。

「確かにな……それなら……」
「そう!? なら、お兄ちゃんも一緒に仕事するんだね!」
「あ、まぁ……そうだよな……。 だって、俺だって疾風を他の奴に取られたくねぇもん……」

   と最後は小さな声で言う翼だったのだが、部屋内は静かすぎる暗いだった為、どうやら疾風には今の翼の声は聞こえていたようだ

 疾風は翼に抱きつくと、

「お兄ちゃんとなら、もっと、ヤル気出る!」 
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