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「クス……分からない?」

 答えが出てこない京平にちょっと嬉しくなってくる。

 そう何だか京平に勝てたような気がするからだ。

「じゃあ、答え言ってもいい?」

 僕は優越感に浸りながら京平の方へと近付いて行く。 寧ろ顔を京平の方へと寄せ、もしかしたら誇らしげな表情をしていたのかもしれない。

「ん? 構わないよ」

 そう京平の方は余裕そうだ。

 ……何で? そんなに余裕そうなんだよー。

 と僕は頬を膨らませて、息を吐く。

「なーんだ……つまんない。 京平に勝てると思ったのに……」
「……ん? どういう事?」
「え? 別に、せっかく僕がなんか京平に優越感を感じてたのに京平は余裕そうなんだもん。 何だかしらけちゃうっていうの?」
「そうだったの? ま、いいけどさ……で、どういう事?」
「嫌だ、教えない」

 そう僕はまた頬を膨らませて京平とは反対側を向きながらも京平の体へと寄り掛かかる。

「クス……やっぱ、玲音は可愛いよね」
「何が!?」

 未だに機嫌な斜めな僕は怒ったように言っていた。

 だが京平の方は全然余裕があるようで後ろから僕の体を抱きしめてくる。

「……へ……あ……」

 そうやられると僕は弱い。

 僕の胸の鼓動が鳴ったのが分かった。

「やっぱ、玲音って可愛い」

 そう耳側で低く甘く囁くように言われたら、更に僕の胸の鼓動が早くなったようにも思える。

「んー!! 京平! ズルいっ!! 本当にズルいってば!!」
「ん? 何が……?」

 僕は京平の腕の中でもがくのだけど、京平の腕に強く優しく包まれていて身動きが出来ない。

「朝から裸エプロンくるよね」
「……へぇ!?」

 僕はその京平の言葉に後ろを振り向くと京平と僕の視線が合った。

「だから、裸エプロンはくるって言ってんの」
「くるって何がさ」
「もう、玲音には答えが分かってるんだろ?」
「あ……」

 その京平の言葉で僕の顔が一瞬で赤くなったのが分かった。 
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