BLR18【2】ノンケだった俺が男と初体験!ー結婚編ー

綺羅 メキ

文字の大きさ
上 下
870 / 929

ー閃光ー162

しおりを挟む
 もし雄介がいなかったら、もしかしたら今の自分はいなかったのかもしれない。

 色々な意味で、自分はいなかったということだ。

 存在の方もそうなのだけど、今の俺の性格にはなっていなかったかもしれないという意味でもある。

 だから俺の人生の中で、本当に桜井雄介っていう存在は大きい。

 もう雄介とは十年以上一緒にいるのだから。

 最初の頃は、本当に俺は雄介のことが嫌いだった。

 そう、俺が一番言われたくない言葉を、こうもあっさりと言ってたからだ。

 だけど、俺が雄介のことを気になり始めたのは、仕事に対して本当に真面目で、人を助けたいという気持ちを聞いた時だった。俺の胸はざわついた。

 あの時の雄介は消防士で、俺は医者。全く違う職業だったのだけど、それでも人を救う仕事をしている。その熱い心だけは一緒だった。本当にそこは共感できた部分だ。

 それから俺の中で、雄介を見る目が変わった。

 そして雄介から告白されて、その後、告白の答えを出すまで考える時間があったのだけど、きっと俺の心の中ではもう決まっていたのだろう。

 だけど、初めて同性に告白されたのだから、戸惑わない人間なんていない。

 そりゃもちろん、初めから同性に興味がある人だったら一発でオッケーを出していたのかもしれないけど、俺の場合は違う。

 元々、女性が好きだったのだから、同性に告白されたら当然戸惑う。むしろ初めてのことで、どうしたらいいのか?っていうのも分からなかった。だから、俺は当時から親友だった和也に相談してしまった。だが和也もまた、俺のことが好きだとは思っていなかったのかもしれない。

 確かにそう言われてみれば、和也も俺に対して親切だったかもしれない。

「ホント、俺って、鈍感だよな……」

 思わず独り言を漏らしてしまった。

「……はっ! あー……」

 その興奮気味な言葉を思わず口にしてしまい、慌てて手で自分の口を塞ぐ。

 この静かすぎる部屋では、大きく響いてしまったのだから。

 そこでふと思いついたのは、今一度、記憶の無い雄介に告白してみるのはどうだろうか?

 そうすれば自分の中で整理がつくかもしれないと思ったからだ。

 今は記憶のある雄介と記憶喪失の雄介とで区別しているのだから、ちゃんと告白すれば気持ちが整理できるかもしれない。

 それで今一度、記憶の無い雄介を好きになるのもいいかもしれない。

 だけど今の俺は、今の雄介のことを実はあまり好きではない。

 そこは差別してはいけないとは思うのだけど。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

アルバイトで実験台

夏向りん
BL
給料いいバイトあるよ、と教えてもらったバイト先は大人用玩具実験台だった! ローター、オナホ、フェラ、玩具責め、放置、等々の要素有り

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

処理中です...