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ー閃光ー145

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「そういうことな……」

 と半分独り言のように言うと、和也と雄介とで俺の車へ乗り込もうとした。その時、和也が、

「な、雄介は助手席に乗せた方がいいんじゃねぇのか?」

 その言葉に一瞬顔を赤くした俺だったが、それを見ていた和也は、

「あー……そういう意味じゃなくてな……。要は望の場合、助手席に乗せるイコール大事な人って思ったんだろうけど、今はそういう意味じゃなくてな……。今日一日、俺は雄介にとって懐かしい所に行ってきた訳だからさぁ……。思い出にあるようなことをしてるんだからな。だから、望の車に乗る時っていうのは、雄介いつも望の隣で助手席に座ってたんだろ?」

「あ、あー……」

 その和也の言葉で思い出した。確かに和也の言う通りなのかもしれない。

 その提案を受け、俺は雄介を助手席へ案内した。それから運転席へ向かう。
 車の外を回り込んで運転席に座り、助手席の雄介に目をやると、彼はもう既にシートベルトを締めていた。

 それを見て変に感心してしまう俺。そう、雄介はちゃんとシートベルトを締めていたのだ。
 記憶喪失になっていても、こうも日常生活で普通に行動するとは思っていなかったのかもしれない。

 そこで、俺は後部座席に座る和也の方へ視線を向け、小さな声で尋ねる。

「あのさ……本当に雄介って、記憶失くしてんだよなぁ?」
「え? あ、ああ……だってそうだろ? 全くもって俺たちのことを忘れちまってんだからさ……」
「だよなぁ……?」
「でも、なんでだ?」

 和也は運転席のヘッドレストを掴みながら問いかけてくる。

「だってさ、助手席のシートベルト、ちゃんと雄介締められてるだろ?」
「あ、あー……そういうことな……。まぁ、雄介の場合、俺たちの記憶がないだけなんじゃねぇ? 望もそうだったけどな……日常生活においてはなんも支障がないってことだろ?」
「ってことは、雄介は家事や消防士をしてた時の仕事、レスキュー隊員だった時の仕事、医者の仕事もできるってことなのか?」
「さぁ? そこまでは分からないけどよ。洋服に着替えるとか風呂に入るとか? 記憶喪失になってからもやってきた訳だろ? だから、日常生活についてはなんも支障がないってことなんだろうぜ」
「あ、あー……そういうことな……」

 和也の言葉に納得する俺。

 日常生活においては確かに今のところ問題はなさそうだが、仕事に関してはまだ分からない部分がある。それに、家事についてだってまだ分かっていないことが多い。
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