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ー閃光ー93
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そこに入ってきたのは、実琴だ。
「お二人さん、これじゃあ、意味ないでしょうがぁー!」
頬を膨らませながら言う姿が、やはり裕実と双子だからなのか、本当に裕実がそこにいるみたいに見える。
そして、その実琴の言葉に、俺と新城は、
「あ……」
そう答えるのだった。
確かにそう言われてみれば、実琴の言う通りなのかもしれない。これは雄介の脳の状態を見るゲームであって、俺と新城が真剣になってやるゲームではなかったような気がする。
「……で、どうだったんです? 実際のところ、このゲームを通して桜井先生のことで分かったことありますかね?」
そう新城は俺の方へ視線を向けて聞いてくるのだ。
そこは完全に医学的に聞いてきているのであろう。
「そうですね。今のゲームでは、ちょっと俺たちが頑張りすぎて雄介の記憶力の方は分かりませんでしたが、雄介の方は少なくともルールは理解して、このゲームに参加していたと思いますよ」
「まぁ、それは分かりましたけどね。とりあえず、日常に関する記憶力というのは、大丈夫なんでしょうかねぇ?」
「どうなんでしょう? その記憶能力が、今の雄介はおかしくなっているんじゃないんでしょうか?」
と、急に今度は二人で議論し始めるのだ。
「そういえば! 新城先生、美里さんに今日の雄介の様子について聞きました?」
「いや……私からはあまり聞いてませんが? それに、美里さんとは初対面でしたので、そんなに女性の方にはぐいぐいとはいきませんよ」
その言葉に、俺の方は一瞬違う意味で背中がゾクリとしたのだが、とりあえず流し、
「そうでしたか……日常生活の方の雄介の行動は今のところ分かりませんね。美里さんからは『ずっとテレビを見て笑ってただけ』としか聞いてませんでしたからね」
そこで新城が、今の言葉で何かが引っかかったのか、俺の方へ視線を向けて、
「しかし、吉良先生は、桜井先生がこんな状態なのに、仕事に来たんですかねぇ? だって、もうお二人は結婚なさってるのでしょう? なら、なおさら相手のことが心配だって思うはずなのに。それに、昼間、私たちに声を掛けてくださったですしね……」
どうやら新城的には、そこが引っ掛かる点だったらしい。
とりあえず今の新城の言葉に、俺の方は顔を引き攣らせるのだった。
むしろ新城にそこのところを気付かれて、鼓動も早くなってしまったのだから。
「だって、珍しいじゃありません? 吉良先生が、私たちを、お二人が住んでいる家に呼んでくださるなんてね」
そこはやはり新城っていうところだろう。どんどん俺の方が新城の言葉で追い込まれてしまっている状態なのだから。
「とりあえず、その話は後にしてもらえませんか? もう遅いですし、雄介にお風呂に入ってもらって、雄介が寝てからってことにしてもらえませんでしょうか?」
そう言うと、新城の方は承諾してくれたようだ。新城は時計を見上げて、頷いたのだから。
「お二人さん、これじゃあ、意味ないでしょうがぁー!」
頬を膨らませながら言う姿が、やはり裕実と双子だからなのか、本当に裕実がそこにいるみたいに見える。
そして、その実琴の言葉に、俺と新城は、
「あ……」
そう答えるのだった。
確かにそう言われてみれば、実琴の言う通りなのかもしれない。これは雄介の脳の状態を見るゲームであって、俺と新城が真剣になってやるゲームではなかったような気がする。
「……で、どうだったんです? 実際のところ、このゲームを通して桜井先生のことで分かったことありますかね?」
そう新城は俺の方へ視線を向けて聞いてくるのだ。
そこは完全に医学的に聞いてきているのであろう。
「そうですね。今のゲームでは、ちょっと俺たちが頑張りすぎて雄介の記憶力の方は分かりませんでしたが、雄介の方は少なくともルールは理解して、このゲームに参加していたと思いますよ」
「まぁ、それは分かりましたけどね。とりあえず、日常に関する記憶力というのは、大丈夫なんでしょうかねぇ?」
「どうなんでしょう? その記憶能力が、今の雄介はおかしくなっているんじゃないんでしょうか?」
と、急に今度は二人で議論し始めるのだ。
「そういえば! 新城先生、美里さんに今日の雄介の様子について聞きました?」
「いや……私からはあまり聞いてませんが? それに、美里さんとは初対面でしたので、そんなに女性の方にはぐいぐいとはいきませんよ」
その言葉に、俺の方は一瞬違う意味で背中がゾクリとしたのだが、とりあえず流し、
「そうでしたか……日常生活の方の雄介の行動は今のところ分かりませんね。美里さんからは『ずっとテレビを見て笑ってただけ』としか聞いてませんでしたからね」
そこで新城が、今の言葉で何かが引っかかったのか、俺の方へ視線を向けて、
「しかし、吉良先生は、桜井先生がこんな状態なのに、仕事に来たんですかねぇ? だって、もうお二人は結婚なさってるのでしょう? なら、なおさら相手のことが心配だって思うはずなのに。それに、昼間、私たちに声を掛けてくださったですしね……」
どうやら新城的には、そこが引っ掛かる点だったらしい。
とりあえず今の新城の言葉に、俺の方は顔を引き攣らせるのだった。
むしろ新城にそこのところを気付かれて、鼓動も早くなってしまったのだから。
「だって、珍しいじゃありません? 吉良先生が、私たちを、お二人が住んでいる家に呼んでくださるなんてね」
そこはやはり新城っていうところだろう。どんどん俺の方が新城の言葉で追い込まれてしまっている状態なのだから。
「とりあえず、その話は後にしてもらえませんか? もう遅いですし、雄介にお風呂に入ってもらって、雄介が寝てからってことにしてもらえませんでしょうか?」
そう言うと、新城の方は承諾してくれたようだ。新城は時計を見上げて、頷いたのだから。
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