BLR18【2】ノンケだった俺が男と初体験!ー結婚編ー

綺羅 メキ

文字の大きさ
上 下
786 / 929

ー閃光ー78

しおりを挟む
「あ……」

 俺はそれを思い出し、気がついた時には新城の顔を見上げていた。

「……ですよねぇ」

 そう言って、新城は笑顔で俺を見つめてくれる。

 やっとその言葉に、俺の心は救われたのかもしれない。

 確かに、俺が前に記憶を失くした時、雄介は俺の元から逃げてしまって、後悔していると言っていた。もし、俺がここで雄介から逃げてしまったら、きっと雄介が記憶を取り戻した時に後悔するだろう。それを避けるためには、今の記憶の無い雄介に俺が一人で向き合って、頑張っていくしか道はないのだから。

「とりあえず、吉良先生の愚痴は私達がいくらでも受け入れますから、そこは協力させてくださいね。でも、桜井先生と本気で向き合えるのは、結婚している吉良先生しかいないんですから……」

 その新城の言葉で、希望が見えてきたような気がした。今まで暗かった俺も、少し明るさを取り戻せたように思える。

 まさか新城がここまで俺に手を差し伸べてくれるとは、思っていなかったのかもしれない。これまでは、俺の周りには和也がいてくれたから、新城は特に俺に手を差し伸べることはなかったのだろう。しかし今は、雄介も和也もいないし、朔望たちもいない。そんな状況を察して、新城は俺に手を差し伸べてくれているのだ。それに、和也からすれば、新城は苦手な存在だったのかもしれないが、俺にとっては、同じ外科医として何度も話をしてきたから、わりと身近な存在だったのかもしれない。

 俺はひと息ついて、

「仕事しないとなぁ!」

 と、気合いを入れる。

「それより、吉良先生、どうしてこちらに来られたんです?」

 新城にそう問われ、俺は一瞬にして我に返る。

「あっ! そうだった! 俺、トイレに来たんだって忘れてたぜ」

 そんな俺の独り言に、新城はクスリと笑う。

「やっぱり、吉良先生って、仕事以外の時は、どこか抜けてますよね?」

 それを聞いた瞬間、俺の顔は一気に赤くなった。

「と、とりあえず、いいからここを出てってくれねぇかな?」
「え? いいじゃないですかぁー。だって、ここには男性しかいないんですよ」

 新城は俺の耳元に顔を寄せて、

「それに、さっきの私達の声、聞いちゃってるんでしょう? もしかして、吉良先生、それを聞いて、中が疼いちゃったんじゃないですか?」

 その言葉に、俺はさらに顔を真っ赤にする。むしろ、その言葉に発狂しそうになったくらいだ。

「ちょ、ちょっと! マジでいいからさぁ……俺は人に見られるのが苦手なんだよ……!」

 そう言って、俺は新城と実琴をトイレから追い出したのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

後輩が二人がかりで、俺をどんどん責めてくるー快楽地獄だー

天知 カナイ
BL
イケメン後輩二人があやしく先輩に迫って、おいしくいただいちゃう話です。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

処理中です...