764 / 929
ー閃光ー56
しおりを挟む
とりあえず、俺はソファでゆっくりと考えたいところだが、まだ美里がここにいる。だからおもてなしではないけれど、美里の相手もしなければならないので、ゆっくりしている場合ではない。
雄介が記憶喪失になってしまったことで、今、俺は美里の相手をしなければならないという状況にある。
雄介が記憶を失ったことで、今の俺たちの生活はかなり変わってくるだろう。それもまた、今の悩みの種なのかもしれない。
俺は自分を冷静に保つため、ゆっくりと空気を吸い込み、ゆっくりと吐き出した。
「美里さん……とりあえず、ここにあるソファに座っていていただけませんか? 俺は帰る用意をしてしまうので……」
「あ、はい……わかりました……あ、雄介もソファに座らせておいたほうがいいですかね?」
「あ、そうですね。雄介と二人で座ってても構いませんよ……」
美潮は帰らせたので、気にせず美里の相手ができるだろう。
しかし、本当に美潮という人物は面倒くさい。
どうしてそんなにも融通が効かないのだろうか。
これがもし和也なら、プライベートなことでも色々と話をすることができるし、そう考えると、和也の存在がどれだけ良かったのかがわかってきた。
何でも相談に乗ってくれるし、一緒に飲みにも行けたし、家にも呼んだことがある人物でもあったのだから。今さら和也のことを良いと思っても、確かにもう遅いのかもしれない。
そこで俺はひと息吐く。
確かに今、和也は自分の側にいないが、たまには連絡とは言わないけれど、後で相談がてら電話してみようと思う。
俺はロッカーの扉をゆっくりと閉め、息を吐き出した。
しばらくは自分が一人で雄介や美里の面倒を見なければならないだろう。今は昔と違って、和也や裕実は側にいないので、自分のことを支えてくれる人物なんていないのだから。
ゆっくりと扉を閉めたことで、逆に言えば、自分に気合いを入れたも同然だ。
一旦、俺は美里が待っているソファまで行き、
「じゃあ、とりあえず、家に行きましょうか?」
「そうですね」
と美里は俺に向けて笑顔を向けてくれた。何だかそこにほっとしてしまう自分がいた。
本当に誰かの笑顔というのは、何だか安心できる。
俺は雄介を支え、まずは自分の車が止めてある駐車場へと向かう。
そして雄介を後部座席に座らせ、美里も後部座席に座らせた。それから俺は車を走らせる。
しかし、こう話すのが苦手な俺は、美里にどう話せばいいのかわからず、車内は未だに静かな状態だ。
雄介が記憶喪失になってしまったことで、今、俺は美里の相手をしなければならないという状況にある。
雄介が記憶を失ったことで、今の俺たちの生活はかなり変わってくるだろう。それもまた、今の悩みの種なのかもしれない。
俺は自分を冷静に保つため、ゆっくりと空気を吸い込み、ゆっくりと吐き出した。
「美里さん……とりあえず、ここにあるソファに座っていていただけませんか? 俺は帰る用意をしてしまうので……」
「あ、はい……わかりました……あ、雄介もソファに座らせておいたほうがいいですかね?」
「あ、そうですね。雄介と二人で座ってても構いませんよ……」
美潮は帰らせたので、気にせず美里の相手ができるだろう。
しかし、本当に美潮という人物は面倒くさい。
どうしてそんなにも融通が効かないのだろうか。
これがもし和也なら、プライベートなことでも色々と話をすることができるし、そう考えると、和也の存在がどれだけ良かったのかがわかってきた。
何でも相談に乗ってくれるし、一緒に飲みにも行けたし、家にも呼んだことがある人物でもあったのだから。今さら和也のことを良いと思っても、確かにもう遅いのかもしれない。
そこで俺はひと息吐く。
確かに今、和也は自分の側にいないが、たまには連絡とは言わないけれど、後で相談がてら電話してみようと思う。
俺はロッカーの扉をゆっくりと閉め、息を吐き出した。
しばらくは自分が一人で雄介や美里の面倒を見なければならないだろう。今は昔と違って、和也や裕実は側にいないので、自分のことを支えてくれる人物なんていないのだから。
ゆっくりと扉を閉めたことで、逆に言えば、自分に気合いを入れたも同然だ。
一旦、俺は美里が待っているソファまで行き、
「じゃあ、とりあえず、家に行きましょうか?」
「そうですね」
と美里は俺に向けて笑顔を向けてくれた。何だかそこにほっとしてしまう自分がいた。
本当に誰かの笑顔というのは、何だか安心できる。
俺は雄介を支え、まずは自分の車が止めてある駐車場へと向かう。
そして雄介を後部座席に座らせ、美里も後部座席に座らせた。それから俺は車を走らせる。
しかし、こう話すのが苦手な俺は、美里にどう話せばいいのかわからず、車内は未だに静かな状態だ。
0
お気に入りに追加
85
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる