716 / 877
ー閃光ー7
しおりを挟む
その雄介の言葉に、琉斗の目が見開かれたようにも見えた。今の雄介の言葉が確実に琉斗にも届いたということなのだろう。
「……ぅん!」
少し間を置いて、大きく頷きながら返事している琉斗。
俺たちは琉斗とは、琉斗が保育園だった頃に会って話をした以来だったのだけど、俺たちがここに戻ってきて、琉斗の家のアパートの隣のマンションに住んでから、琉斗が雄介に相談しに来たのは初めてのことだ。だけど思春期のわりには琉斗は雄介に対して警戒していないところを見ると、小さい頃の記憶がまだあるということなのだろう。そうでなければ、こんな風に雄介のところには来ないのだから。
しかし今さっきの雄介のアドバイスには再び驚かされた。まさか琉斗の相談事にあんなに的確に答えるとは思っていなかったからかもしれない。
確かに雄介の言う通りだ。『親に負けるとか勝てる』とかっていう問題ではない。思春期というのは、自分の意見をちゃんと親に言って、言い合える仲というのがいいのだから。それは確かに喧嘩ではないだろう。喧嘩ではないのだから、勝ったとか負けたとかいうのはない。ただ意見を言い合うだけということだ。それを琉斗は喧嘩と勘違いしているだけなのかもしれない。それに思春期特有の反抗期もいずれ終わりを迎えるのだから、それまでは親子での言い合いということだろう。
「あー、ほな、琉斗……もうお昼だし、何か食べてくか? そんでも、まだ自分の家に帰るの嫌なんだろうしな……」
そう言って席を立つ雄介。
この家に来てからは、完全に雄介の方は専業主夫となったのだから、食べ物の方は潤っている。
そして雄介は冷蔵庫の中を覗いて、
「好きなもん言うてくれたら、なんか適当に作るで……」
そうキッチンの方から、琉斗に声を掛けている。だから俺は琉斗に、
「雄介が作る料理だったら、何でも美味いから、雄介もああ言ってるわけだし、何かリクエストしてみたらどうだ?」
そう俺は琉斗の耳元でアドバイスするように言う。
これから琉斗とは親戚になるのだから、仲良くしておいた方がいいだろう。
「え? そうなんですか?!」
とまだ俺には敬語を使っていたが、そこは仕方がないところなのかもしれない。そして俺は琉斗のその言葉に頷いた。
「えー、じゃあ……? 小さい頃、雄介おじさんに作ってもらった……お子様ランチ?」
『お子様ランチ』で思い出した。確かに琉斗を一時的に預かった時に、雄介が琉斗に作ってあげていた料理でもある。琉斗もきっと雄介だから懐かしく思って、それをリクエストしたのだろうし、もう琉斗くらいの年になると、ファミレスに行ってもお子様ランチなんて頼めないからだろう。
「……ぅん!」
少し間を置いて、大きく頷きながら返事している琉斗。
俺たちは琉斗とは、琉斗が保育園だった頃に会って話をした以来だったのだけど、俺たちがここに戻ってきて、琉斗の家のアパートの隣のマンションに住んでから、琉斗が雄介に相談しに来たのは初めてのことだ。だけど思春期のわりには琉斗は雄介に対して警戒していないところを見ると、小さい頃の記憶がまだあるということなのだろう。そうでなければ、こんな風に雄介のところには来ないのだから。
しかし今さっきの雄介のアドバイスには再び驚かされた。まさか琉斗の相談事にあんなに的確に答えるとは思っていなかったからかもしれない。
確かに雄介の言う通りだ。『親に負けるとか勝てる』とかっていう問題ではない。思春期というのは、自分の意見をちゃんと親に言って、言い合える仲というのがいいのだから。それは確かに喧嘩ではないだろう。喧嘩ではないのだから、勝ったとか負けたとかいうのはない。ただ意見を言い合うだけということだ。それを琉斗は喧嘩と勘違いしているだけなのかもしれない。それに思春期特有の反抗期もいずれ終わりを迎えるのだから、それまでは親子での言い合いということだろう。
「あー、ほな、琉斗……もうお昼だし、何か食べてくか? そんでも、まだ自分の家に帰るの嫌なんだろうしな……」
そう言って席を立つ雄介。
この家に来てからは、完全に雄介の方は専業主夫となったのだから、食べ物の方は潤っている。
そして雄介は冷蔵庫の中を覗いて、
「好きなもん言うてくれたら、なんか適当に作るで……」
そうキッチンの方から、琉斗に声を掛けている。だから俺は琉斗に、
「雄介が作る料理だったら、何でも美味いから、雄介もああ言ってるわけだし、何かリクエストしてみたらどうだ?」
そう俺は琉斗の耳元でアドバイスするように言う。
これから琉斗とは親戚になるのだから、仲良くしておいた方がいいだろう。
「え? そうなんですか?!」
とまだ俺には敬語を使っていたが、そこは仕方がないところなのかもしれない。そして俺は琉斗のその言葉に頷いた。
「えー、じゃあ……? 小さい頃、雄介おじさんに作ってもらった……お子様ランチ?」
『お子様ランチ』で思い出した。確かに琉斗を一時的に預かった時に、雄介が琉斗に作ってあげていた料理でもある。琉斗もきっと雄介だから懐かしく思って、それをリクエストしたのだろうし、もう琉斗くらいの年になると、ファミレスに行ってもお子様ランチなんて頼めないからだろう。
0
お気に入りに追加
71
あなたにおすすめの小説
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集
あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。
こちらの短編集は
絶対支配な攻めが、
快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす
1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。
不定期更新ですが、
1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
書きかけの長編が止まってますが、
短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。
よろしくお願いします!
大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。
でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。
けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。
同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。
そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる