上 下
688 / 877

ー未知ー182

しおりを挟む
 当然、ファミレスなのだから、何でもかんでも揃っている。今日の俺の気分はスパゲッティだったので、それを頼むことにした。一方、雄介の方は、どうやら本当にガッツリと食べたいようで、

「ほな、俺はハンバーグステーキとミートソースにしようかな?」
「……ブッ!」

 その雄介の言葉に、思わず俺は吹き出してしまった。

「……はぁ? え? そんなに食うのか!?」
「へ? 当たり前やんかぁ……だって、終わる時間も分からへんしなぁ……」
「そりゃ、そうだけど……」

 雄介の食欲に、俺は引いてしまうくらいだ。しかも、よくそんなに入ると呆れてしまうほどだ。

 とりあえず俺たちは注文を済ませ、またしばらく時間が空く。

 だけど本当に俺たちは、今までこういう時間をあまり取れてなかったと思う。

 二人だけのまったりとした時間だ。

 今までの俺たちは、仕事に追われる毎日で、休みの日でもゆったりとした時間はほとんどなかったのだから。

 本当に今は、こうしてまったりとする時間なのだろう。

 そして、こうして雄介の顔をまともに見るのも久しぶりだ。

 雄介は、会った時とあまり変わらない顔をしている。いや、確かに歳を取ってきているのだから、顔は年々老けてきているのだけど、なんだかあまり変わってないような気がするのは気のせいだろうか。

 確かに今まであまりにも仕事が忙しすぎて、雄介の顔なんてあまり見たことはなかったが、それでもやっぱり変わってないように思えるのは気のせいだろうか。

 そんな雄介に、今自分に余裕があるからなのか、俺は微笑んでしまう。

 すると、雄介も笑顔で、

「どないしたん?」

 と聞いてくる。

「え? 別に……お前って、昔からあまり変わらないなぁって……」

 その俺の言葉に、雄介は首を傾げる。

「……何が? 変わらんの?」
「あー、んー……」

 さすがにそう聞かれるとは思っていなかった俺。とりあえずそこはクスッとして、

「……顔、かな?」

 なんでか、俺は首を傾げてまで言う。

「……顔?」

 ますます、雄介の頭がハテナマーク状態だ。そんな雄介に、俺はさらにクスッとしてくる。

「顔。だってさ、何だか、雄介って、俺と出会った時と変わらないような顔してるもんな。あんま老けたって感じがしねぇっていうの?」
「ん? そういうことなん?」
「あ、ああ……俺が言いたいのは、そこなんだけどな」
「あー、うん……。まぁ、望がそう思うんだったら、そうなんと違うの?」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。 でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。 けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。 同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。 そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?

【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集

あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。 こちらの短編集は 絶対支配な攻めが、 快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす 1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。 不定期更新ですが、 1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 書きかけの長編が止まってますが、 短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。 よろしくお願いします!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

世界で最も難解なアルゴリズム

ストロングベリー
BL
システム開発会社で技術責任者を務める『音川』は常に冷静沈着、モラル意識も高く、フェアな態度を貫いているため社内からの信頼も厚い。鍛え上げた身体とぶっきらぼうな物言いのせいで一見威圧的だが、部下には優しく、技術力向上のために尽力する仕事一筋の男だ。 ある日、社内で起きた事件をきっかけに、開発部に新人が配属される。彼は驚異的なプログラミングの能力を持ち、音川はいち早くそれを見抜くが―― その新人を前にすると、音川は自身のコントロールを失い、論理の鎧が剥がれていくのを止められない。 *過去に『非論理的ラブ』として投稿していたものを大幅に書き換えました。

処理中です...