上 下
684 / 877

ー未知ー178

しおりを挟む
 俺は一口コーヒーを啜ると、

「なんで、今日の雄介はコーヒーにしないで、ジュースなんかにしたんだ? しかも、炭酸飲料なんて珍しいんじゃねぇ? それに、雄介からしたら炭酸飲料っていろいろな意味で飲まなそうなんだけどな。ほら、いろいろと体に悪いって聞くじゃんか……」
「あー、これか? 今日、これにしたかったのは、いつも以上に頭を働かせるためやって……」
「……ん?」

 そこで俺は再び頭に疑問符を浮かべ、それを雄介に振る。

「ん? だからやなぁ、確かに、炭酸飲料っていいイメージはないんやけど……頭を働かせる時にはいいと思うねんって……人間、頭を働かせたい時って、糖分が必要になってくるやろ?」
「あ、あー!」

 その雄介の言葉に俺は頷く。

 そう、雄介の言う通り、炭酸飲料とか甘い物っていうのは、頭を使いたい時には必要となってくるのだから。これだって取りすぎは良くないけど、適度なら頭を働かせるにはいいのだから。

「そっか……」

 そう俺は雄介に言うと、今一度コーヒーを啜る。

 今の俺たちからすれば、今は十分に平和な時なのかもしれない。

 店内にはクラシックが流れていて、その音楽さえも時をのんびりとさせてくれているような気がするのだから。

「あー、んじゃ、俺も今日は炭酸飲料にしてみようかな?」
「……ん?」

 雄介が今の俺の一言で、俺の方に向けて顔を上げてくる。

 多分、雄介もこうのんびりとした時間を過ごしているからなのか、結構腑抜けた表情だったのかもしれない。

 そこで俺は笑いそうになりながらも、

「雄介の言う通り、たまになら、炭酸飲料を飲んでもいい訳だろ? それに、俺も今日は頭の回転を良くしておきたいしな」
「あ、そういうことな……」

 と雄介は俺の言葉に反応し、そして俺が席を立って、飲み物を取りに行こうとした時には、手を振って見送ってくれる。だが次の瞬間、

「あー! ちょー、待った……」
「へ? あ、ああ……」

 その雄介の言葉に俺は歩みを止めるのだった。

「あんなぁ……飲み物の入れ方分かるのか?」
「あ、あー……」

 その言葉に、急に考えてしまう俺。もちろん、入れ方なんか知らないのだから。

「あー、分からねぇかも……」
「だよなぁ? ほなら、俺も取りに行くし、一緒にやろか?」
「ああ、そうだな……」

 本当に今の時間というのは、普段は楽しめない時間を過ごしているのかもしれない。ただただこうたわいのない会話だって、何だか楽しく感じてしまっている。

 とりあえず俺は雄介に助けてもらって、飲み物の入れ方が分かると、席へと戻っていくのだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集

あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。 こちらの短編集は 絶対支配な攻めが、 快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす 1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。 不定期更新ですが、 1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 書きかけの長編が止まってますが、 短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。 よろしくお願いします!

大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。 でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。 けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。 同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。 そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

後輩が二人がかりで、俺をどんどん責めてくるー快楽地獄だー

天知 カナイ
BL
イケメン後輩二人があやしく先輩に迫って、おいしくいただいちゃう話です。

処理中です...