663 / 929
ー未知ー157
しおりを挟む
「おお、ええよぉ……」
そう言うと雄介は再びその部屋内をゆっくりと歩いて、見渡すように朔望にその部屋の玩具を見せているようだ。
『ホント、マジでこんなの玩具があったんだねぇ。 って、ここって、確か兄さん達の為に作った家だったんだよね? しかし、そう考えると、父さん達って、兄さん達の事は本気で認めてたって事なんだよねぇ?』
「あ、ああ……ま、そうなんやろな? でもなぁ……」
そこで雄介は言葉を一旦止めると、今度は俺の方へと視線を向けるのだ。
その視線に一瞬俺の方は何が何だか分からなかったのだけど、その一瞬で俺の方も考えると、雄介が俺に何を振って来たのだかが分かって来たような気がする。
きっと朔望達はあの事を知らないだろう。 そう俺達の父さんと雄介の父さんが知り合いだったっていうことを。 あ、いや、前にその事について朔望とは話をして事があったのかもしれない。
そうだ。 朔望が一回、その話をした時に、嘆いたのだから。
そう『その消防見学の時、本当は僕も行く筈だったのに、前日かなんかに怪我をして行けなかったんだよね』っていうのを今俺の中で思い出す。
だからなのか、俺は雄介に向かって、
「何言ってんだよ。 俺達の父さんとお前の父さんの話、朔望の方は知ってると思うぜ」
と雄介にだけ伝わるような小さな声で言うのだ。
「あ、そうやったなぁ……」
と後頭部を掻きながら俺の言葉に答えると、今度は朔望がいるであろう、電話の画面の方へと視線を向け、
「なぁ、朔望。 だって、ほら前に、俺の親父と望ん所のお父さんと知り合いやったって言うたやろ?」
そう言われて、朔望の方も考えて、
「あ、ああ! 確かに、そうだったねぇ。 じゃあ、兄さん達の方は、もう、父さん達の公認っていう訳だ」
そこで朔望が今言った言葉で思い出す。
確かに父さん達には俺と雄介との恋人同士については公認になってはいるのだけど、結婚の方も報告しないとならないのではないだろうか?
とりあえずそういうのは後で考えよう。
本当に俺達の頭の中っていうのは、いつも考える事で渋滞してしまっているようにも思える。
本当に頭の中には全く余裕がないように思えて来る。
そこに朔望がまた入って来て、
「ま、いいから、とりあえず、色々と見せてよー。 今はこっちの気分なんだからさ、父さん達の事は後、後!」
ま、流石は朔望。 切り替え上手というところなのかもしれない。
「あー、そやったな。 ほな……スマホで周り映すからなぁ」
そう言って雄介は周りを映し始めるのだ。
そう言うと雄介は再びその部屋内をゆっくりと歩いて、見渡すように朔望にその部屋の玩具を見せているようだ。
『ホント、マジでこんなの玩具があったんだねぇ。 って、ここって、確か兄さん達の為に作った家だったんだよね? しかし、そう考えると、父さん達って、兄さん達の事は本気で認めてたって事なんだよねぇ?』
「あ、ああ……ま、そうなんやろな? でもなぁ……」
そこで雄介は言葉を一旦止めると、今度は俺の方へと視線を向けるのだ。
その視線に一瞬俺の方は何が何だか分からなかったのだけど、その一瞬で俺の方も考えると、雄介が俺に何を振って来たのだかが分かって来たような気がする。
きっと朔望達はあの事を知らないだろう。 そう俺達の父さんと雄介の父さんが知り合いだったっていうことを。 あ、いや、前にその事について朔望とは話をして事があったのかもしれない。
そうだ。 朔望が一回、その話をした時に、嘆いたのだから。
そう『その消防見学の時、本当は僕も行く筈だったのに、前日かなんかに怪我をして行けなかったんだよね』っていうのを今俺の中で思い出す。
だからなのか、俺は雄介に向かって、
「何言ってんだよ。 俺達の父さんとお前の父さんの話、朔望の方は知ってると思うぜ」
と雄介にだけ伝わるような小さな声で言うのだ。
「あ、そうやったなぁ……」
と後頭部を掻きながら俺の言葉に答えると、今度は朔望がいるであろう、電話の画面の方へと視線を向け、
「なぁ、朔望。 だって、ほら前に、俺の親父と望ん所のお父さんと知り合いやったって言うたやろ?」
そう言われて、朔望の方も考えて、
「あ、ああ! 確かに、そうだったねぇ。 じゃあ、兄さん達の方は、もう、父さん達の公認っていう訳だ」
そこで朔望が今言った言葉で思い出す。
確かに父さん達には俺と雄介との恋人同士については公認になってはいるのだけど、結婚の方も報告しないとならないのではないだろうか?
とりあえずそういうのは後で考えよう。
本当に俺達の頭の中っていうのは、いつも考える事で渋滞してしまっているようにも思える。
本当に頭の中には全く余裕がないように思えて来る。
そこに朔望がまた入って来て、
「ま、いいから、とりあえず、色々と見せてよー。 今はこっちの気分なんだからさ、父さん達の事は後、後!」
ま、流石は朔望。 切り替え上手というところなのかもしれない。
「あー、そやったな。 ほな……スマホで周り映すからなぁ」
そう言って雄介は周りを映し始めるのだ。
0
お気に入りに追加
85
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる