BLR18【2】ノンケだった俺が男と初体験!ー結婚編ー

綺羅 メキ

文字の大きさ
上 下
518 / 929

ー未知ー12

しおりを挟む
 それから、雄介は美里さんとの電話を切った。

 そこに俺も雄介も息を吐いたのは言うまでもないだろう。

「雄介のお姉さんって、相変わらずなんだな」
「ホンマ、そうやねんなぁー。 何で、あんな感じなんやろ? ホンマ、こっちが疲れて来るわぁ……」

 そして、雄介の口から漏れてきたのは完全な愚痴だ。

 確かにそうなのかもしれないけど、ここまで雄介のことを疲れさせるとは思ってみなかったのかもしれない。

 しかも、今の雄介は完全に机の上に顔をうっ潰してしまっているのだから、相当参ってしまっているようだ。

「あぁ! ホンマ、無理や!」

 と弱音を吐くもんだから、

「でもさ、俺達っていうのは、そういうのちゃんと決めて、こっちに戻って来たんだろ?」

 俺は雄介に向かって微笑みながら、雄介の頭を撫でる。

 すると、雄介という人間っていうのは単純な奴で、俺の方へと視線を向けて来る。 そしていつもの笑顔で、

「ホンマ、望がいるだけで俺の方は頑張れる気がしてくるわぁ……」

 と言っていた。 そして気合が入ったかのように急にその場に立ち上がると、

「ほな、次は望のお父さんに電話しないとやな?」
「……へ? あ、おう……」

 まさか今日中にそんなに色々なことをやるとは思ってなかった俺。 いや、確かに美里さんだけでは時間が余ってしまい、俺達の場合にはどうしたらいいのか? っていうのが分からなくなってしまうのだから、いいのかもしれないのだけど。 俺だって、自分の親父に電話するのは未だに緊張することだ。 いや、今回の件についてはいつも以上に緊張をしているのかもしれない。 だけど、俺たちの未来のためにやるべきことはやっておかないということだろう。

 今度は俺のスマホを開く番だ。

 いつも持っている手が今日は緊張のせいで震えてくる。 たった暗証番号を入力するだけでスマホ画面というのは開くのに、今はそれさえも億劫に感じてしまうほどだ。

 なお、寧ろ鼓動だって緊張のせいか、いつもより早い。 いつも簡単にスマホを操作しているのに、今は全くもって手がいつものようにスムーズに動かない位に緊張しているという事だ。

 そんな姿を雄介が見ている。 そして心配そうに俺の顔を覗き込んで来て、

「大丈夫か?」

 といつものように優しい声色で声を掛けて来てくれるのだ。

「あ、ああ……大丈夫だ……」

 とは俺の方は答えるものの、流石に俺の方は完全に声が震えてしまっていた。

 口で「大丈夫だ」と言っていても、心の中では「大丈夫ではない」と言っているのと同じだという事だろう。

「なぁ、望……今だけ、俺に望のスマホ貸してくれるか?」

 そう真剣な口調で、俺に安心してもらう為なのか腕を掴んでまで言って来てくれる雄介。

「え? あ……」

 それと同時に俺の方は雄介の方へと視線を向けるのだ。 視線の先に入って来た雄介の顔というのは、本当に真剣そうな表情そのもので、久しぶりに俺の心までもドキリとさせてくれる。

 俺はそこで数秒間固まってしまい雄介の顔を見つめていてしまっていたようだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

アルバイトで実験台

夏向りん
BL
給料いいバイトあるよ、と教えてもらったバイト先は大人用玩具実験台だった! ローター、オナホ、フェラ、玩具責め、放置、等々の要素有り

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

処理中です...