上 下
457 / 877

ー至福ー176

しおりを挟む
 そこで裕実に何となく聞いてみる事にする俺。

「なぁ、裕実……流石に俺と朔望達以外が医者で働くのは嫌だよな?」

 裕実の方は少し考えてくれているのか、視線を天井に向けて手を顎に当てていた。

「まぁ、確かに、僕の場合には人見知りが激しいので、他の人はちょっと……」

 そう人の事ハッキリと言わないのが裕実の特徴だ。 そう裕実の場合ハッキリと嫌だとは言わないのだが、それだけでも十分に嫌だ。 と言ってるようにも思える。

「だよな……。 いやさ、雄介が最近具合が悪いのは、熱中症っていうのだったら、然程心配っていうのは無いんだけどさ、もし、脳の方に異常があった場合、もう明日にでも春坂の方に向かわないとマズいだろ? だけど、朔望達っていうのは、この一ヶ月で患者さんを他の医者に頼まないといけないだろう。 だからさ、後一ヶ月島の患者さんには待っていただくか? 違う医者をここに連れて来ないと診察が出来ないじゃんか……」
「あ! そういう事だったんですねっ! 望さんが悩んでいた事っていうのは……」

 その俺の言葉でポンっ! と手を叩く裕実。

 しかし本当に俺は裕実の前では本音を言ってしまっているような気がする。

「え? あ、まぁ……そうなんだけどな」
「それで、さっき僕にそういう風に聞いて来て下さったって訳なんですね」

 こうさっき俺が聞いて来た言葉と今言った言葉で裕実の頭の中で何かが合致したのであろう。 裕実の方は納得し、目を見開いているのだから。

「確かに、雄介さんの事を考えたら、早く春坂の方に行って頂いて、本格的に検査した方が安心出来ますしね。 だけど、後一ヶ月何も痛みが無ければ熱中症っていう事になりますもんね」
「そういう事なんだよな。 熱中症なのか? それとも、雄介は前に海の中に彷徨った事があったから、それが原因で脳に異常が出ているのか? せめて、そのどちらかだっていうのが分かれば、俺達の方は、まだゆっくりとこの島にいる事が出来るんだけどな」
「確かに、そうですね。 明日にでも雄介さんが元気にさえなって頂ければ、望さん的にも問題無いっていう事ですもんね」
「今の所はそういう事だな。 熱中症の症状の中に、頭痛は入ってるし、それはそれであり得る事だからな」
「ですね。 熱中症であれば、直ぐに治る可能性もありますし、明日までは様子みる必要性があるのかもしれませんね」
「そうだな。 じゃ、とりあえず、今は俺達だけで診察してようぜ」

 何だか悩んでいた事を人に話して俺の方はスッキリしてしまったのか、いつもの俺になると診察時間もあってか、仕事を始めるのだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集

あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。 こちらの短編集は 絶対支配な攻めが、 快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす 1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。 不定期更新ですが、 1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 書きかけの長編が止まってますが、 短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。 よろしくお願いします!

大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。 でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。 けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。 同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。 そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...