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ー至福ー106

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 そして次の朝。 いつものように俺は起きたのだけど、朝食を作るいい匂いが鼻を掠める。 だが布団に温もりを感じる所からすると今日朝食を作っているのは和也なのであろう。

 そうだ今日は確かにベッドに温もりを感じている俺。 そこで思い出したのは和也達と決めて朝食やらの家事は交代制と決めてはいるのだけど、やはり朝俺の隣で寝ている雄介が気になってしまう。

 いつもなら早く起きて雄介は階下に行って朝食を作ったり、何かしらで動いているのに動かないで寝てしまっている事に俺からしてみたら、ただただ違和感でしかないからだ。

 確か、雄介が事故の翌日に帰宅して来て、まだ朔望達がいる日もそんな違和感があった。

 俺は半身を起こしながら色々と考える。

 本当にこの島に来てからは毎日のように何かの事で悩んでいるような感じがするのは気のせいであろうか。 それでも考えなきゃならない事なのだからしょうがないだろう。

 人間なのだから悩むのは当たり前の事なのかもしれない。 その悩みにだって小さい物もあれば大きい物もあるのだが、他人からしてみたら小さな悩み事だとしても本人からしてみたら大きな悩み事の方が多い。

 とりあえず俺の方は隣りから温もりを感じながらも、あの事故以来、雄介の様子がいつもと違う事に違和感を抱くのだ。

 その事を考えていると、フッと思い出した事があって、俺は階下へと向かう。 そしてリビングで和也の姿を見つけると、

「あのさ……」

 その俺の言葉で和也は俺の方へと振り向く。

「へ? あ、ああ……望かぁ……おはよう」

 そういつものように満面な笑顔で言ってくる和也。 もしかしたら和也達は昨日の夜真剣に結婚について話し合う事が出来て、きっと二人できちんと話をまとめる事が出来たのであろう。 という所に一瞬俺の方も笑顔になったのだけど、俺からしてみたら、今はそれどころではない。

 しかも開口一番に、

「なぁ、最近の雄介なんかおかしくないか?」

 その言葉に和也は味見をしていた料理を吹きそうになっていた。

「はぁ!? 一体、どういう事なんだ? しかも、望がそういう事を俺に相談してくるなんて事、珍しいよな?」

 少し和也の方はにまにまだか、だらしないような表情をしていたのだが、俺からしてみたら本気な話なのだから直ぐに表情を切り替え、

「だからさ、事故に遭ってからの雄介の事なんだけどよ」
「あ、え? まぁ……望がそう思うんだったら、そうなんじゃねぇの? 俺からしてみたら、そんな異変みたいなのは分からないっていうのか気付いてないっていうのかな?」
「……え? そうなのか?」
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