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ー至福ー27

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 気付いた時にはもう雄介はベッドの上へと横になっていた。

 もう雄介はあの事故から十日位経ってるけど、まだ疲れが取れてないのか。 それとも流石の雄介も歳を感じてる頃なのであろうか。

 そう今の時刻というのは夜の二十一時過ぎたばかりなのに雄介の方はもうベッドの上に横になってしまっているのだから。

 しかしどう雄介の事を誘ったらいいのであろう。 本当に今の俺からしてみたら未だに迷う所だ。

 きっとそういう事に関して雄介の方は歳的にも落ち着いて来てしまっているのかもしれない。

 本当にこういう行為に関してある意味自分だけこうも熱くなってきているのであろうか。

 もう一度俺は深い息を吐く。

「……って、望……何してるん?」

 俺が悩んでいるのを知ってか知らずか雄介は優しく俺にそう声掛けて来てくれる。 なんかホントその優しさっていうのが今の俺からしてみたら苦しい位だ。

 これでお酒の一杯でも飲んでいたなら、きっと雄介の事を誘う事が出来るんだろうけど、お酒の方に関しては最近全然飲んでいない。

 行為の事に関してだって、あれだけ悩んでみんなで相談して『出来る時にはヤるようにしよう』とは決めたのだけど、お酒に関しては流石に飲める訳が無い。 いや飲む時間が無いと言った方が正解なのかもしれない。 ま、そこは俺達というのは常時飲んでいる訳じゃないから無くても大丈夫だっていう所なのだから気にしてないだけだ。

 俺が色々と悩んでいると、雄介がいきなり俺の耳側で、

「早よ、寝よ」

 と言ってくる。

 その行動に俺の方は一瞬体の方が跳ね、雄介の事を目を丸くしながら見上げるのだ。

「……へ? 何? 俺、何か悪い事したん?」

 と逆に雄介の方が慌てたように言って来るのだ。

「あ、いや……別に……」

 そう俺の方に慌てたように雄介から視線を外し再び顔を俯けてしまう。

「なぁ、望……それならそうと言ってくれれば良かったのに」
「はぁ!?」

 その雄介の言葉に俺の方は再び目を丸くしながら、今は俺の真後ろにいる雄介の方に顔を向ける。

 今の雄介の言葉というのは一体どういう意味だったのであろう。

「せやからな……今の望の顔っていうのは、こう、もう! 色っぽかったって言うんかな? 瞳なんかうるうるってさせておって、頰の方は気持ち的に赤いじゃなくてピンクかかっておったしなぁ、そしたら、もう俺からしてみたら望から誘われてるー! って感じがしたんやけどなぁ」
「……!?」

 その事を雄介に知られてしまい俺は一瞬言葉を失い掛けたのだけど、

「わ、悪ぃかよ……こんな歳になって、まだまだ欲情してしまうっていうのはさ……」

 今日はなんか勢いでそんな事言ってしまっていたようだ。
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