BLR18【2】ノンケだった俺が男と初体験！ー結婚編ー

ー至福ー9

「あ……」

　と俺の方は一瞬で天井の方へと視線を向けてしまう。

　そう雄介のその言葉で恥ずかしくなってしまったからだ。　俺の方はあんまり子供が好きじゃなくて、子供好きの雄介みたいな考えっていうのは考えた事がなかったからなのかもしれない。

　と、そんな時、急に声が聞こえて来て現実へと戻されてしまう。

「あー！　流石にヤバいですよー！　時間！　もう直ぐ午後からの診察始まってしまう時間ですよー！」

　そう慌てたように言って来る裕実に、俺の方は家にある柱時計の方へと視線を向けるのだ。

　確かに裕実の言う通り、もう直ぐ午後からの診察の時間を迎えようとしていた時間だった。

　俺達は空になったお皿を一旦流し台の中にある桶に浸し直ぐに診察室の準備に取り掛かる。

　お昼の情報番組から、そんな俺達にとって嬉しいニュースを聞いたら心が躍ってしまいそうなのだが、みんなで話し合いをしていたら、まだまだ俺達からしてみたら遠い話に思えて来た。　ホント、そういう時っていうのは裕実に和也に雄介がいてくれるとホッとする。　誰かが嬉しい話で舞い上がっていても、その誰か一人が必ず冷静で意見を言い話し合いが出来るからだ。　本当に今回の話というのは俺達からしてみたら考えさせてくれた話だったのかもしれない。

　それに雄介の意見も十分に聞けた。　いや寧ろ、雄介からしてみたら望んでいた事だっていう事が十分に分かったような気がする。　そうだから俺の方も本当に雄介との子供を考えてしまう程だ。　それにあの時、俺は反対してしまったのだけど、男性も赤ちゃんをお腹の中で育てるっていう擬似体験を俺がしてみたいとも思った。　そう俺の場合には子供というのは苦手な方だ。　だから今まで子供と向き合うのは避けて来たのだけど、やっぱり雄介の言う通り自分の子供となったら考え方というのか避けては通れなくなるのだから、子供と向き合えるかもしれない。　そう思ったからだ。　これが自分を変えるというのか子供嫌いを克服する為のチャンスという事だろう。

　生きて行く中でチャンスというのは逃してはいけないと思う。　一度きりのチャンスを逃してしまったら、きっとそのチャンスというのはもう二度と戻っては来ないのだから。

　診察時間にも俺は頭の中でそのニュースの事について考えてしまう。　そう言ってもちゃんと診察している時間というのは真剣にで診察内であっても患者さんを呼んでいる間に考えていたという方が正しいだろう。

　そして夕方頃になって来て患者さんも全く来なくなってしまった時間帯になると俺達の方は診療所を閉めるのだ。　閉めると言っても鍵は常に空いている。　要は診療所のドアに『御用の方はこのチャイムを鳴らして下さい』という看板を掛けて来るだけだ。

　それを掛けて俺達の方は一日の診療所の仕事を終えるとロッカーに白衣を掛けて、それから家へと戻って行くのだ。

「んじゃあ、夕飯は俺達が作るなぁ」

　そう言って和也と裕実はキッチンへと立つ。　俺達の方はソファへと座ってテレビの方へと視線を向けると、昼とは違う情報番組で昼と同じような内容のニュースをやっていた。