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ー鼓動ー114

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 俺達は部屋を見つけると、その部屋へと入って行く。

 ここのホテルのは初めて来たのだけど、ホテルの部屋というのは何処も変わらないという所であろうか。 ベッドにテレビ、そしてソファがあるという本当にある意味ベッドだけがあればいい部屋なのだから確かにそれだけでいいのかもしれないのだけど。

 だけどその中で一番俺の目を丸くさせたのはお風呂だ。

「ちょ、雄介? ここのお風呂はなんだ? 完全にガラスじゃねぇか」
「そんなん知らんわぁ、俺だって初めてここに来たんやからなぁ、それに、一緒にお風呂に入るんやったら気にならんやろ?」

 そう普通に言う雄介。

 ……そうフツーに言われても俺の方は納得出来ねぇんだけど!

「ま、そういう事は後にして……ま、まぁ……とりあえず、今日は疲れたしな」

 そう言いながら雄介は気付いたらベッドの上へと横になっていた。

 ただ俺は雄介のように部屋へと入って来てのんびりと出来る訳もなく、ここに来てからというものずっとその場に突っ立ってるだけだ。

「今日は久しぶりの人混みで疲れたしなぁ、今日はお風呂溜めてええ?」

 そう言って雄介はベッドの上に半身だけを起こして来る。

「え? あ、うん……別に俺は」

 ここに入って来てからの俺というのは完全に意識してしまっているのか、こう自分自身でもギクシャクとしてしまっているように思える。 正確には緊張しているという事だ。

 こういう所に来るのも久しぶりな訳で、しかもココに来た目的というのが雄介に抱かれるという事もあってだ。 やはり目的が目的な為、俺の心臓の音も本当にマックスっていう位高鳴ってしまっているのだから。

 そして雄介の方はそんな俺をよそに、さっき言っていたようにお風呂に入る準備を始めていた。

 そう透明なガラスの向こうに雄介の姿があったからだ。

 本当にココにある部屋のお風呂の壁というのはガラスだ。 だから雄介がお風呂場に入って準備している姿だってよく見えてしまっている。

 これを作った人というのはどういう意図で作ったのかというのは俺には分からないのだけど、やっぱりそこはカップルで来た時に男性側が恋人のそういう所を見たいという事なのであろう。 だけど雄介の言う通り一緒に入るなら意味はないのかもしれない。

 そのお風呂というのは部屋の真っ中心にあって、入って右側にベッドがあって入って左側に壁掛けの大きなサイズのテレビとソファがあるといった感じだ。 俺はそのお風呂の前に突っ立っているという感じでいる。

 そして雄介はお風呂の用意が出来たのかお風呂場のドアが開くのだ。

「まだ、そないな所に立っておったんか? ソファとかベッドで寛いでおったら良かったのに」
「へ? え? あ、だから俺の方はまだこういう所に慣れてないって訳で……その……どうしたらいいのか? ってのが、分からないんだよ」

 そう俺の方は完全に雄介の視線から離して話してしまっていた位に未だに緊張していた。
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