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ー鼓動ー13

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「えぇ!? マジでか……」

 そう声を上げる和也。

「ま、そういう事」
「そういう事って、どういう事!?」

 雄介の後ろからひょっこりと現れて来る歩夢。

 居たのは確かに知ってはいたのだけど、益々現実味が増して来るっていうのかな?

 だって朔望はさっき歩夢にメールで呼び出していたというのだから。

「あ、そうそう……朝ご飯気にしないで食べてねぇ。 僕の方は旅館で食べて来たからさぁ」
「……って、そんなに食料は無いってつーの!! 朔望の分で精一杯だったんだからな」
「分かってるって、だから、僕は旅館の方で食べて来たって言ったでしょ」
「はいはい分かったから、歩夢も俺達の邪魔しないように。 そこに座って待ってろよ」

 和也にそう促されて歩夢は朔望の隣りへと座るのだ。

「歩夢もって、何さ、じゃあ、朔望兄さんもって事!?」
「そういう事です! だから、少し黙っててくれないかな?」
「和也がそう言うなら黙ってまーす」

 そうやたら素直な歩夢。 大人になったからなのか、それとも何か企んでいるのか? っていうのは分からないのだけど、ま、和也が言った通りに大人しくなったんならいいとしよう。

「それで、ま、朔望は小児科医だから、俺の担当をしてもらって、望の方は歩夢って所かな? とりあえず、俺達の診療所っていうのは、病院と違って、専門別ではないからな。 ま、朔望は問題無いと思うねんけど、だってな、小児科っていうのは、本当に小児のありとあらゆる所を見なきゃならない訳やしな」
「ま、ねぇ、だから、大変なんだけど……ま、そこがやりがいがある所っていうのかな?」
「ま、そうやんな。 俺だって、そこにやりがいみたいなのを感じたっていう訳やしな。 それに望が基本的に子供苦手やろ? それで、俺は小児科医になったっていう訳や」
「そうだったの!? それは知らなかったなぁ」
「ま、朔望達にはそういう事話した事なかったからな。 ま、そこは知らなくて当然って所か?」
「ま、病院に居る頃、僕と雄兄さんって殆ど行動を一緒にしてたけどね」
「そ、それは、お前から色々と学ばなきゃならないって思ったからやろ?」
「ま、そういう事にしとくよ」
「……ってなぁ……誤解を招くような事言うなや」
「そういう風に聞こえた?」
「聞こえるわぁ」
「でも、雄介はそんな事をしないって、俺は知ってるから大丈夫だ」

 そう俺は本当の事を言ったまでなのに、何だかみんなの視線が俺に集まってきているような気がする。

「へ? え!? 俺、また変な事言ったのか!?」

 その言葉に頷く三人。

 ……あ、和也と雄介と朔望の三人かぁ、あ、歩夢もなのか? って、裕実は何だか頷いてないように思えるんだけど?

「あの兄さんがねぇ、そんな事言うとは思ってなかったなぁ」
「あ! 分かった! 雄介が一昨日帰って来てから、おかしくなったか?」
「……おいおい……おかしくなった……って、いうのは無いだろ? 俺は至って普通な俺なんだしよ」
「んー、いやぁ、俺達からしてみたらって所かな? 確かにここでみんなで暮らすよいうになってからは望が素直になったような気がすんだけど、でも、もっとって感じがするんだよなぁ」
「あー! もう! その話はいいからさ! ご飯終わったし、診療所の方に行くぞ!」
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