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女装ー88

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 それからは、未来の誘いで龍の軽音部のライブを楽しむと、

「はぁああ! 良かった! さっすが、龍だよねぇ」

 そう言いながら未来は後ろを歩いていた司の方へと振り向くのだ。

「え? あ、そうだねぇ……」
「ちょっと、なんか凄くなさそうに聞こえるんですけどー!」
「違う! 違う! 逆だよー。 逆っ! あまりにも凄すぎて、こっちの方が気が抜けて来ちゃうっていうのかな?」

 司のその褒め言葉に未来は自分の事のように、

「でしょー! ね、ねぇっ! 龍って凄いでしょー! ホント、龍は凄いんだからー!」

 そう熱く語る未来に、未だに気が抜けたような感じの司。

「ま、それはいいとしてー。 あー、これも終わってしまったから、後もう少しで文化祭も終わりかぁー」

 気持ち的に残念そうに語る未来なのだが、

「でもさ、片付けた後の楽しみがあるんだよねぇ! だから、頑張ろっ!」

 そう言った未来は本当に楽しそうだ。

 その一方でそれを聞いて益々憂鬱そうなのは司なのかもしれない。

 文化祭が完全に閉幕して片付け終える事が出来たら、後は未来と龍とそして純一と一緒にホテルへと行かなきゃならないのだから。

 司や未来は教室へと戻ると、午前中とは逆に静かな喫茶店に目を丸くするのだ。

「え? 何で?」

 未来の言う通りに司の方も同じ事を言いたくなったのだが、未来が言ってくれた事で口を塞ぐ。

 それを逆に考えてみる司。

「あ……もしかして、龍先輩達のライブなんじゃないの?」
「龍達のライブがどうしたって?!」
「だってさ、確か、龍先輩達の軽音部って人気ある訳でしょー? 先輩なんだし、去年からこの学校にいるって事は、最低でも去年からは人気あったんじゃないのかな?」
「あ、そうかぁ! そうなのかもしれないよねぇ。 でも、まさか、龍達のライブでこんなにもここにお客さんがいないなんて思わなかったなぁ。 そんだけ、龍達の軽音部って凄いんだねぇ。 なら、後で龍と速水先生に聞いてみよー」

 そんなこんなで司達が教室へと戻って来て三十分位で文化祭が閉幕となる。

 夕陽が差し込む教室で、片付けを始める生徒達。

 高校生にもなると生徒達だけで飾りから何から作るもんだ。 勿論、片付けるのも生徒達で、一人一人が担当した所を片付け始めると、早く片付けも終わる。

 大体一時間半位で終わった。

 片付けが終わると、それぞれに寮へと戻って行く。

 勿論、司も未来も一旦寮へと戻って行くのだった。

 今はまだ着替える必要は無いのだが、荷物を取りに行ったのだから。

「……って、マジでみんなでホテルに行くのか?」
「だって、速水先生に相談したらいいって言ってくれたんだもん。 それと、勿論、龍にもねぇ」
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