【BLR18】平凡な俺が男子校ではモテモテ☆男子校パラダイス【完結】

女装ー30

　司はそう思いながらも生徒指導室から出て行こうとしていた。

　多分、純一は反対側のドアから、そのまま職員室に戻るだろう。

　司が生徒指導室のドアに手を掛けた、その時、

「司……」

　という、いつも恋人同士でいる時の名前で呼び止められる。　その声に一瞬、司は足を止めるのだ。

　そう司自身が今思っていたことをまるで見透かされた感じがして、それと同時に心臓が高鳴ったようだ。

　純一は司の名前を言った後コツコツと靴音を立て、ゆっくりと司に近付いて行く。

　司は今すぐにでもこの部屋から出て行きたいと思う気持ちと、この部屋にまだ居たい気持ちとで心が揺らいでいるようにも思える。

　確かに司は純一のことは好きだが、まだ付き合い始めたばかりで恥ずかしい気持ちと、嬉しい気持ちも混ざっているのかもしれない。　だが、こんなにも早くに純一のことが好きだということを気付かれたくはないと気持ちで司はその場に止まってしまっていた。

　純一のことだから、きっと名前を『司』呼びした時点で司のことを恋人として見ているのであろう。　だから司にはこの後何があるか予想が付いているのかもしれない。

　司が固まって動かないでいると、司の背中に重みを感じたようだ。

　そう純一が司の背中を抱き締めたからだ。

　それだけでも司の胸は高鳴っているのであろう。