【BLR18】平凡な俺が男子校ではモテモテ☆男子校パラダイス【完結】

思い出ー56

　未来はあまり自分には関係ないような『ふーん』という返事をすると、とりあえず龍には無くすなと言われたこともあってか右側のズボンのポケットに切符をしまう。

　後は電車を待つだけだ。

　都心の電車の行き来は早い。　一回逃しても次に来る電車は約三分後。　遅くても五分後位には来る。

　二人は相変わらずホームに居ても手は握っていた。

　人になんて言われようとも関係ないと感じなのであろう。　好きな相手なのだから、どんな苦難でも乗り越えることが出来るのだから。

　ホームで待っていると次から次へと人々が電車に乗る為に集まって来る。　そんな時、電車はスピードを下げホームへと滑り込んで来るのだ。

「うわぁー！　ちょ、ちょっとー！　な、何これー！　うるさいんですけどー！」

　と未来が大きな声で叫ぶが、電車の方が遥かに音が大きく未来の声はかき消され龍には未来の声が届いてないようだ。

　続いて未来を襲うのは電車から出る風圧だった。　爆風までとは行かないが風が衣服や顔にあたる。

「龍？　これが電車？」
「あ、ああ……そうだぜ」

　電車からは先程していた音も風も無くなり静かに停車すると、電車の扉が開く。

　すると中から人々が出て来て、それからホームに居た人々は電車に乗り込む。

「僕達もあれに乗るの？」
「乗らなきゃ帰れないからな」
「んー……」

　そう答える未来は何だか憂鬱そうだ。

「乗らないのか?」
「だって、あんなに人がいるの嫌だもん」
「電車ってのはそういうもんなんだよー」