【BLR18】平凡な俺が男子校ではモテモテ☆男子校パラダイス【完結】

思い出ー52

「ああ、ありがとう。　結城さん」

　未来は今日何度も龍に言われた言葉を繰り返す。

　その未来の言葉に結城は未来に笑顔を送るのだ。

　そして二人が玄関を出たのを確かめると、結城は静かにドアを閉め二人の後を付いて門へと向かう。

　すると門前には吉岡家で雇われている者達が未来達を待っていたかのように門前に勢揃いしていた。


　卒業式みたいにレンガの道脇には吉岡家で雇われている者々達が並び、未来が来るまで頭を下げている。

　その姿に驚いたのは龍だ。　普通では有り得ないことだろう。　何だか龍の方が恐縮してしまい一人一人に頭を下げたくなったが、とりあえず早くこの場から去ってしまいたいと思ったのかもしれない。

　先程、結城が龍達を待たせたのは結城がここに居る人達に連絡をして門前に集まるように言ったからなのであろう。

　龍は足早に門を抜けようとしたが、

「龍君」

　と結城に声を掛けられ、振り向く龍。　結城は龍の元まで来て龍の手を握る。

「どうか、未来おぼっちゃまを無事学校までお送りになって下さいね。　もう、私が未来おぼっちゃまにさせて上げられるのはここまでです」

　結城はそこまで言うと龍の手の中にそっと紙のような物を渡すのだ。

「ああー、はい！」

　そう龍は慌てたような返事をすると、渡された紙を握り締める。