【BLR18】平凡な俺が男子校ではモテモテ☆男子校パラダイス【完結】

思い出ー24

「なら、良かった……」

　そう龍は安心したように言うのだが、今度は未来が黙っていなかった。

「龍！」

　そう大きな声で言うと未来は上半身だけを起こす。

「そんなに僕が信用出来ない！？」
「そんなんじゃねぇよ。　たまにお前も心配にならないのか？　心の中で分かっていても言葉で聞きたい時ってさ。　例えば、俺が未来に『愛してる』って言葉を聞けなくなったらたまには聞いてみたくなるだろ？」

　言葉は一年だけしか変わらないのに龍の方が上手だ。　未来は龍の言葉を聞いて声を荒らげたことが恥ずかしくなる。　未来はそのまま顔を俯けてしまう。

「未来はまだまださ、言葉も心理も分からないみたいだな。　っていうか、自分のことしか考えてないって感じだ」

　龍にそこまで言われると流石に悔しいのか、唇を噛み締める。

　そう本当のことだから言い返せないのが本音だ。

　未来は本当に今までどれだけ親に甘やかされて育てられてきたのかが分かるだろう。　逆に龍は一般的に普通に育てられてきたからこそ体で世間というのを感じて育って来ているのだから、未来がどれだけ世間のことを知らずに育って来たのが分かったようだ。

　さっき未来が言っていたが、中学の時は本当に未来の周りの友達も未来をどれだけ甘やかしてきたかも分かる。

　それにそんなことをする奴等は逆に本当に未来の友達ではないと龍は思うのだ。

　だが、それに寂しさを感じた未来が高校を決めた時に全寮制にしたことは未来にとって社会に出るいい一歩だったと龍は思うのだ。

　それに未来が龍がいる高校にしなければ、二人は出会うことは無かったのだから。

　運命の赤い糸というのは本当に存在するのかもしれない。

　もし未来が高校に行く時の進路を未来自身がではなく、未来の両親が決めてしまっていたのなら、今頃、未来は他の私立で中学の時のような学校生活を送っていて、益々、寂しさを募らせていたのかもしれないからだ。

「未来……」