【BLR18】平凡な俺が男子校ではモテモテ☆男子校パラダイス【完結】

ー95

　そして二人を祝福するかのように遠くの方で船の警笛音が鳴り響く。

「海の中には入れないけれど、少し歩いてみるかい？」

　そう純一は言うと、さっきまで黙っていた司が嘘みたいにいつものキラキラとした笑顔で頷く。

「じゃあ、行こうか」

　純一は司の左手を握ると歩き始める。

　だが司にはそんな恋人らしい雰囲気というのは早かったんだろうか。　しばらくすると司は純一の手から離れ、はしゃぎ始めるのだ。

　やはり司はまだ子供。　砂浜を駆け回り一人で楽しく走り回っている。　一方、純一は司がそうなってしまうと保護者目線というのだろうか。　ポケットに手を突っ込みタバコに火を付けながら司の後をゆっくりと追っているだけなのだから。

　大人の恋愛ならば、こんな雰囲気のある場所でキスをしたり、イチャイチャしたりするのが定番なんだろうが、どうやら司にはまだ、そんな雰囲気は早いようだ。

　純一も久しぶりに海に来た。　二年前に来た覚えがあるのだが、そん時は彼女と来ていた。

　そう、まだ海水浴シーズンでこの浜辺には人が沢山いて彼女が新着の水着を自慢したくて来たのだが、どうも純一はその時は楽しくはなかった記憶があるようだ。