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 司の方は既に未来の話にはうんざりだった。 寧ろそういう話をされたら、まだ高校生で健康な男子というのは色々と頭の中でヤバい想像をしてしまうもんだ。 しかも司の場合、未来と龍のを生で見たようなもんなのだから余計になのかもしれない。

 しかしもう司の方はその未来の話にうんざりとして来たのか、それともそういう話は頭にもう入れまいとしているのか、司が何も反応しなくなっていても、未来は司の横でベラベラと今さっき起きたことを話し始める。

「今ねー、実はねー、僕の中にはローターが入ってんのー!」

 そう笑顔で言う未来にまたもや噴き出そうになる司。

 聞かないフリをしていても勝手に未来の言葉が真隣りに居る司には聞こえて来てしまうのだ。

「それでねー、龍がローターを少し改造してくれて、龍が持っている携帯で遠隔操作が出来るようになってるから、授業中、いつ動かされるか分からないんだよねー。 だからさ、声が出ないように気を付けないとなんだけどさぁ」

 本当に未来の口からは、よくそんな言葉をスラスラと出て来るなっという所には感心しながらも半分は呆れるのだ。 だってそうだろう。 そんな事普通に口にしてしまっているのだから。

 そして二回目のチャイムが鳴ると純一が教室に入って来る。

 純一の容姿は一見、不真面目そうに見えるのだが内面の方は真面目なんだろう。 いつも授業が始まる鐘とほぼ同時に教室内へと入って来ているのだから。

 そして、お決まりの挨拶をして出席を取られて純一の数学の授業が始まる。

 静かな教室内には純一が黒板に数式や解き方を書く音と、純一の甘くて低い声と生徒達が純一が書いたのをノートに書き写すシャーペンを走らせる音だけが響いている。

 司が中学生だった頃はもう少し授業中でも生徒達が話をしていたりして教師が怒鳴る声とかが響き渡っていて、もう少しうるさかった印象があったもんなのだが。

 だが逆に静か過ぎるのと、まだ、お昼を食べ終わったばかりの司の体は段々と頭をコクリコクリと始める。

 数回に一回は目を覚せるのだが、それでも睡魔は司を襲い続けるのだ。
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