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 ……でも、何がいいのかな?

 ……オレンジジュース?   グレープジュース? アップルジュース? コーラー?

 ……流石にコーラーはないか……。

   ……いやぁ……ここの料理にジュースはないのかな?   だってなんか合わなそうだもんね。 じゃあ、ここは無難に紅茶かな? でも食事に紅茶はないよね? かと言ってコーヒーもな……ブラックなら合いそうなんだけど……僕はブラック飲めないし……。

   ……んーー逆に迷う感じじゃない?

「ねぇ、聖……どれがいいのかな?」
「そうだね……でもさ、ここで提供されているのだから、ジュースだったらなんでも合いそうだけど……」
「あ!」

   その聖の言葉で納得出来たようにも思える。

 ……逆にね……。 聖の言う通りなのかもしれない。

「じゃあ、僕が好きなので大丈夫?」
「それでいいと思うよ……。 高そうなお店だからって、そこは気にする所でも無さそうだしね……」
「うん!   分かった!」

 聖のお陰でもっともっと気楽になったような気がする。

 そうだいつものように自分が好きな物を選べば良かったんだ!

 そう思うと僕は好きな物を選ぶ事にした。

「じゃあ、アップルジュースにしようかな?」
「じゃあ、決まりだね……。 料理の方は多分、出来次第持って来てくれると思うからさ。 それに、ここが高級レストランだからと言って、マナーとかも気にしないでくれよ……。 だって、まだまだ君の場合には高校を卒業したばっかりなのかだら、少しずつマナーを学んでいってくれたらいいからさ……。 その為に今日は個室にしたんだけど……」

 その最後の聖の言葉に僕は首を傾げる。

   ……わざわざ、聖が個室にした理由?

   そう僕が首を傾げていると、聖はまた話を続ける。

「だからさ、まだ、マナーとかっていうのは学んでいないのだから、個室外で食べるのは嫌だろ? 上手くまだ出来ないのに、みんなに見られながら食べるのは嫌じゃない?」

 ……あーー! そういう事ね。 確かに聖の言う通りだよね。 まぁ、聖はそういうマナーとかっていうのは出来るのかもしれないけど確かに僕の場合には出来る事は出来るけどまだまだっていう感じだしね。 個室でそういう事を覚えてから、あそこで食べるようになればいいっていう事だ。

 そう思っている間に聖はここの個室にある電話で僕が頼んだジュースを注文してくれているようだ。

 さっきまではジュースの事で話をしていた僕達なんだけど……聖が僕のジュースの注文をした後は急に部屋が静かになったしまったというのか、僕の方は緊張していて何を聖と話していいのか? っていうのがわからなかったから、何も会話が出来ていないのかもしれない。


 でも聖はこういう所に来慣れている筈なのに聖の方も何か話をしてくれなさそうだ。

 いったい今日の聖は何を考えているのかさえ分からない雰囲気もある。

 だって卒業祝いにしては本当にこんな所では豪華過ぎるというのかなんというのか……。 それだったらホント家で2人で料理作ってちんまりとお祝いをやってくれた方がいいと思うのだけど……。

 フッと聖の方に視線を向けると何だか聖の方も落ち着きがない感じだ。 視線が僕の方じゃなくて完全に宙に浮いているっていう状態だからだ。
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