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【番外編】誕生日プレゼントの選び方1 和也×裕実

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 裕実は一人、人々が行き交う街中を歩いていた。

 裕実は都会に住んで居るが、裕実が住んでいる場所というのは、こんなにもビルが立ち並んではいない所で住宅街が広がっているだけで、ビル群を見るのは本当に久しぶりな事なのかもしれない。

 そう東京は東京でも都心部を過ぎると高いビル等はなくなり、一軒家や低層マンションが増え、のどかな街並みが広がっている所だ。

 今日の裕実は休みの日なのか、数日後に控えている和也の誕生日向けてプレゼントを買いに、わざわざ足を伸ばして都心部に来たという事だろう。

「和也の誕生日プレゼント……何にしましょうか?」

 一人で買い物をしていると、こういう風に独り言が出てしまうもんだ。 それは一人で買い物をしていて寂しさを紛らわそうとするからであろう。

 ただただ人々が行き交う中で小さな声で独り言を漏らしても誰の耳にも入らないことが幸な事なのかもしれない。

 やはり独り言が他人の耳に入ってしまい『変な人』と思われるのは恥ずかしいからだ。

 裕実は和也のプレゼントを何にするか決めてないまま、デパート内へと足を運ぶ。

 流石は都会だけあってか、デパート内は高級店舗が入っているようだ。

「流石に僕の給料では高い物は買えませんよね……」

 裕実は一息溜め息を吐くと、紳士服売り場へと足を運ぶ。

 確かに手頃な値段にはなったが、和也の服の趣味が分からないのが現状。

「やっぱり、無難なとこでアクセサリー系でしょうか? 靴もサイズが分かりませんしね」

 よくよく考えてみると、まだまだ裕実は和也のことを分かっていそうで分かってなかったのかもしれない。

 アクセサリーにしたって、和也は普段の日でも身につけていたかなんて、かなり記憶が曖昧な所でもある。

「ま、アクセサリーなら、僕と一緒なら付けてもらえるでしょー! でも、金属アレルギーだったら……?」

 再び溜め息を吐く裕実。

 本当に人の誕生日というのは何をプレゼントしていいか分からないもんである。

 裕実は適当にプレゼントを選ぶと、デパートを出て街中を歩き駅を目指す。

 平日だというのにかなり人が居て大変ではあったが、恋人への誕生日プレゼントが決まって、裕実は満足げな顔をしながら帰って行ったようだ。



 それから数日後の和也の誕生日。

 裕実はあの日に買った、荷物を持ち、いつも待ち合わせをしている職員玄関出口で和也が来るのを待っていた。
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