【1/完結】ノンケだった俺が男と初体験〜ツンデレ君には甘いハチミツを〜

ー信頼ー128

　望と雄介と二人暮らしをして食事をしている時、場を和ませてくれたのは雄介だった。　雄介が話す内容は何故か面白くて、時には腹を抱えて笑った時もあった。　雄介が告白してきて、もう何年経ったのであろうか。　運命だったのは雄介が怪我をして望が働いている病院に運ばれて来て、望が主治医になって雄介が望に一目惚れをし告白して来てから二人の関係というのは始まっている。　最初、望は雄介に女医と間違わられ望は全くいい印象ではなかったのだが、その女医と間違われて次の日だっただろうかICU室から出て次の日に雄介は病室で体を動かしていた。　それを望が止め雄介の話を聞いている時に、こう何か感じることがあったのかもしれない。　そしていつの間にか惹かれていて、それから恋人同士になって色んな事があったのだが、お互いにそこは助け合い、ここまで別れずに来た。

「とりあえず、ごちそうさまー！」

　そう言うとヘリコプターが一機、この島に来たのであろうか。　和也はその羽音に耳を傾ける。

「ヘリコプター？　また、来たのか？」

　そう独り言を漏らしながら窓の外を眺めると、

「また、マスコミのヘリなのかなぁ？　でも、赤色のヘリなんだよなぁ？」

　その和也の何気ない一言に望は、雄介と昔話をしていた事を思い出したようで、そして和也のその言葉と同時に窓の外へと向かうと青く澄み切った空を見上げる。

　青い空に映える赤色のヘリコプター。　そうだ……確か前に雄介と話をしていた事がある。

『赤いヘリコプターだったら、消防庁のヘリなんだけどな……』

　赤いヘリコプターというのは昔、雄介が働いていた消防庁のヘリコプターだ。

　その赤いヘリコプターが小学校の校庭に降りたのを確認すると、望は何故だか急に走り出す。

　今はもう望の中でお昼ご飯を食べている場合ではなくなってしまったのかもしれない。

　そう今この場所に消防庁のヘリコプターが降り立った理由は全く全然分からない。　今回の事故というのは、火事が原因での事故ではなかったのだから管轄みたいなのは海上保安庁の方だろう。　なのに火事ではなかったのに何故、消防庁のヘリコプターがここに来たのか？　というのが分からない。

　でも何でか望は何も考えず、気付いたら体が勝手に動いていて、その消防庁のヘリコプターを追い掛けるように家を飛び出してしまっていたのだから。　そうあのヘリコプターに雄介が乗っているような気がして、望は家を無意識のうちに飛び出していたようだ。　だけどあのヘリコプターに雄介が乗っているという保証だって情報だって根拠だって何もない。　だけど……消防庁というだけで望の体は動いてしまっていたようだ。

　そして望は全速力で小学校の校庭を目指す。

　こんなスピードで走るなんて事、本当にいつ振り位なんだろうかっていう位なんであろう。

　望は診療所から小学校までの登り坂を今までにはない早さで駆け上がる。　当然、普段運動してない体は直ぐに息が上がってしまっていたのだが、それでも足を止める事をしない望。　額から汗が噴き出して来ていても今はそんな事さえ気にせず望は本当に無我夢中でその坂を上がっているようだ。