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ー信頼ー59

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 素直な望に一瞬、雄介は頭にハテナマークを浮かべたのだが、今は熱を出している望だっていう事を思い出し、素直なんだという事を思い出したのかもしれない。

「まぁ、今回は蒼空一人やったから、どうにか一人で出来たようなもんなんやけど、これが複数人となると流石に一人じゃ出来へんで……。 それに、俺一人じゃなかったやんか、最終的に裕実や望や和也がおったからこそ助ける事が出来たんやしな。 だから、みんなが居らんかったら出来なかった事なんやって……って、望の方は大丈夫なんか?」
「まぁ、今のところは大丈夫かな?」
「今のところはって……所が引っかかんねんけどな」

 雄介は望の顔を心配そうに見つめる。

「だ、大丈夫だって!」
「そうやって、焦ってる所を見ると怪しいねんけどなぁ? 確かに今は緊急事態やったから、望に手伝ってもらったけど、もう、後は蒼空の輸血が済んだら、終わりなんやから、もう望は休んどきっ! それに、呼吸の方もまだ荒いみたいやしな。 まだ、全然、完璧じゃないって証拠なんやからなぁ。 まぁ、望の場合、額すら触れさせてくれんのやろうし、俺が今の望を見て診断しただけやからなぁ。 少なくともしんどそうなのは確かって所やな」

 望はそんな雄介にため息を吐くと、

「お前って医者になると怖いのな。 ってか、飲み込みが早いっていうのかな? 医者になって数年しか経ってない筈なのに、もう、ベテランな医者っていう感じだしよ。 本当、何があってもお前に任せられるっていう感じになってきたな。 お前が医者になる! って決めてから、あんなに言い合いしたのにさ」
「そんなん望居ったから頑張れる事が出来たんやで……ホンマ、勉強なんて嫌いやったしな。 ホンマ、今は望の事を好きになって良かったって思うとる。 望の事好きになってなかったら、医者になるっていう選択肢なんか俺にはなかったと思うしな」

 雄介からの久しぶりの愛の言葉に望は軽く微笑むのだ。

 確かにここに来てから忙しい日々を過ごしていた雄介達だったのだが、本当に久しぶりに雄介から愛の言葉を言われたような気がする。 そうもう長年一緒にいるからなのか、逆に相手が恋人だっていう事を忘れてしまっていた事なのかもしれない。 だけど今回雄介が久しぶりにそんな事を言ったもんだから、望は雄介と恋人関係だったって事を思い出す事が出来たのであろう。

「ほな、望は大人しく寝ておるんやぞ……そこは医者命令やからな!」
「分かったって……」

 望は雄介に言われた事に従い、望は自分達の部屋へと向かい、雄介は再び蒼空がいる診察室へと向かうのだ。
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