【1/完結】ノンケだった俺が男と初体験〜ツンデレ君には甘いハチミツを〜

ー希望ー89

　 午前中の診療を終えると、午後からは回診で小児科病棟を回る。

　今は裕実が入院している為、雄介は他の看護師と回っていた。

　そして午後の仕事を終えると、望と和也と一緒に裕実が居る病室へと向かうのだ。

「ホンマ、裕実も無事やったみたいで良かったわぁ」
「だから、あの時、僕は大丈夫です。　って言ったじゃないですか」
「まぁ、そやけどな」
「雄介さんこそ大丈夫だったんですか?」
「ん……まぁ、俺の方は大したことはなかったから良かったんやけどな」
「大したことはなかったんだけど……?   その後は何か意味がありそうですよね?」
「あっ！　やっぱ、流石やなぁ。　ん、まぁ……俺やなくて姉貴と琉斗がな……あの飛行機に乗っておったんやって。　あんなに人が亡くなってる中で助かったのは嬉しいねんけど、複雑やな……。　まぁ、姉貴の方は何でその飛行機に乗っていたかと言うと、オカンのとこに行く途中やったんやって……」
「琉斗君達が乗ってたんですか！？」
「俺もその話聞いてなかったぞ」

　そこに和也も口を挟んでくる。

「まぁ、望からそういうことは話さないやろうし、今まで和也、仕事しておった訳やしな。　それで、朝、姉貴の病室に行ったら、親父が来てて……そこで、俺は親父に医者になったことを話したんやけどな。　そしたら、親父は『反対する気はない』って言っておった。　これで、俺的にはスッキリしたって感じやな」
「お前はちゃんと親に話したって事なんだな。　なら、もう、何も気にせずに仕事に打ち込むことが出来るって事になるんだよな！」
「確かにそういうこっちゃな！　明日からはホンマにちゃんと気合い入れて頑張んで！　いや……寧ろ今までも真面目にやっとったけど……更にって意味やで！」
「分かってるって！　今までのお前を見てれば分かるさぁ。　だけど、何でお前は小児科を選んだんだ?」
「あ、あー、それは、昨日、裕実には言うたんやけど望には言うておらんかったんやっけな?」

　雄介はそう言うと小児科を選んだ理由を話始めるのだ。

　望は雄介から話を聞くと、一息吐く、

「そういうことか……」
「雄介って、考えてなさそうで色々と考えているって事だったんだな」

　話を聞いていた和也も話に割り込んでくる。

「考えておるっていうか……診療所で働くようになったら、望一人で全部の科をカバーは大変やろうって思った訳やし、望は基本、子供が苦手やろ？　せやから、小児科がベストかなぁ？　って思って選んだって事や」