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ー希望ー80
しおりを挟む「とりあえず、今日一日、和也が裕実の傍に付いてるっていうからさ俺達は帰ろうぜ……」
「ああ、せやな」
雄介は一息吐くと、望は雄介と裕実の部屋へと入って来ていた。
そして二人は同時に通話を切り雄介は望へと近付くと、望の体を抱き締める。
二人は自然と視線を合わせると、笑顔になって、
「とりあえず、お疲れさん。 裕実の方はお前の応急処置のおかげで間に合ったからよ。 今は大丈夫だからな」
「それなら、ホンマ良かったわぁ」
「……って、俺はお前のことを誉めてるんだけどな。 確かに、お前が研修医をしている時代はまだ一人前の医者じゃなかったから不安だったけど、今はお前はもう立派な医者になったと思うぜ……なんか顔つきも研修医時代とは違うように見えるしよ。 本当、お前が完璧な医者になるとは思ってもなかったからな」
「あん時、俺は医者になるって決めたんやから、ちゃんとした医者になることを目指しておったしな。 中途半端な動機で医者になったんじゃないことを望に証明したかったってのもあって、今まで努力していたしな」
「そっか……お前は本気で医者になりたかったって訳か。 まぁ、それは証明してもらったよ。 話変わるんだけど……お前、親父さんには医者になったこと話してねぇのか?」
その望の言葉に雄介は目を丸くしながら、今度、雄介は望のことを見つめる。
「いやぁ、さっきさ、消防庁のヘリに乗させてもらった時に雄介の親父さんがヘリに乗ってたんだよな。 それで、少しの間だけだったけど話をしたんだ。 それで、雄介はまだ親父さんに医者になった事を雄介の親父さんに話をしてないってない事を聞いた訳だ。 何で、そんな大事なことを自分の親には話してなかったんだ?」
「それはやな……?」
雄介は望から視線を離すと、望から手を離し、
「それはやな……別にこれは俺が決めたことやし、親父に言うべきことやないって思うたからや……自分の人生なんやから、親に決められた道に向かうのはもううんざりやったし、もう、大人なんやから、別に親に承諾とかしてもらうこともないやろうしな」
「それで、親に何も言わずに医者の道に進んだのか? 確かに自分の人生だから、好きなように歩んでいったらいいんだけどさ、だけど、せめて、レスキュー隊員は辞めて医者になったってことは言っても良かったことじゃないのか? 寧ろ、そこは言っておくべきところだと俺は思うぜ」
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