1,919 / 2,140
ー希望ー73
しおりを挟む
「せやけどなぁ? 裕実の方が明らかに早く処置した方がええと思うねんけどな」
「そんなに悩んでいる暇があったら、早く、患者さんの方を運んで行って下さい! お願いします! 僕の方は大丈夫ですから!」
裕実は雄介に向かい懇願するかのような瞳で見つめるのだ。
雄介はそんな裕実に溜め息を漏らすと、
「裕実がそないな風に言うんやったら、しゃーないか……。 ほな、先に患者さんの方を病院まで運んで、応援呼んでくるわぁ」
雄介は裕実の言葉に折れ先に患者さんの方を運ぶ事にしたようだ。
「とりあえず、何もせずに大人しくここで待っておるんやで、とりあえず、意識飛ばさんようにな。 お前がもしここで死んでもうたら、俺、和也に顔向け出来んようになってもうし、それに、和也を悲しませることになってもうしな」
「分かってますよ」
裕実は雄介に向かい笑顔を向けると、雄介も裕実に向かい笑顔を向ける。
「レスキュー時代に鍛えた体で、なるべく早く、行って来るし……」
「そうでしたね。 雄介さんが居てくれると頼もしいです。 体力的にも能力的にも頼れますしね」
雄介はまずは患者さんを背負うと山を下り始める。
だが今、雄介が下りている所は山道ではない。 山道の方であれば人工的に作った道であって、ある程度は整備されているものの、山道ではない道では急な斜面があったり石等がゴロゴロしていたりして、かなり危険な所でもある。
いくら雄介がレスキュー時代に鍛えていたとしても人一人担いで山を下りるのは容易なことではない。
雄介は石や急な斜面に何度も滑りそうになるものの何とか体勢を立て直し足を踏ん張り、ゆっくり、そして早く確実に山を下りて行く。
そして、どうにか下山は出来たものの雄介にとってあまり土地勘がある場所ではない為、そこで立ち止まってしまったようだ。
「アカン……山を下りて来たのはええねんけど、春坂病院が何処にあるのか分からへん……」
そう独り言を漏らし急に立ち止まって考えてしまう。
「せや! タクシー呼べばええんやな!」
いい考えを思い付いたのも束の間、
「アカンやん……俺、金持ってへんで……」
いい考えが浮かび表情が明るくなったのも束の間。 直ぐに雄介は落胆の表情へと戻ってしまう。
「そんなに悩んでいる暇があったら、早く、患者さんの方を運んで行って下さい! お願いします! 僕の方は大丈夫ですから!」
裕実は雄介に向かい懇願するかのような瞳で見つめるのだ。
雄介はそんな裕実に溜め息を漏らすと、
「裕実がそないな風に言うんやったら、しゃーないか……。 ほな、先に患者さんの方を病院まで運んで、応援呼んでくるわぁ」
雄介は裕実の言葉に折れ先に患者さんの方を運ぶ事にしたようだ。
「とりあえず、何もせずに大人しくここで待っておるんやで、とりあえず、意識飛ばさんようにな。 お前がもしここで死んでもうたら、俺、和也に顔向け出来んようになってもうし、それに、和也を悲しませることになってもうしな」
「分かってますよ」
裕実は雄介に向かい笑顔を向けると、雄介も裕実に向かい笑顔を向ける。
「レスキュー時代に鍛えた体で、なるべく早く、行って来るし……」
「そうでしたね。 雄介さんが居てくれると頼もしいです。 体力的にも能力的にも頼れますしね」
雄介はまずは患者さんを背負うと山を下り始める。
だが今、雄介が下りている所は山道ではない。 山道の方であれば人工的に作った道であって、ある程度は整備されているものの、山道ではない道では急な斜面があったり石等がゴロゴロしていたりして、かなり危険な所でもある。
いくら雄介がレスキュー時代に鍛えていたとしても人一人担いで山を下りるのは容易なことではない。
雄介は石や急な斜面に何度も滑りそうになるものの何とか体勢を立て直し足を踏ん張り、ゆっくり、そして早く確実に山を下りて行く。
そして、どうにか下山は出来たものの雄介にとってあまり土地勘がある場所ではない為、そこで立ち止まってしまったようだ。
「アカン……山を下りて来たのはええねんけど、春坂病院が何処にあるのか分からへん……」
そう独り言を漏らし急に立ち止まって考えてしまう。
「せや! タクシー呼べばええんやな!」
いい考えを思い付いたのも束の間、
「アカンやん……俺、金持ってへんで……」
いい考えが浮かび表情が明るくなったのも束の間。 直ぐに雄介は落胆の表情へと戻ってしまう。
0
お気に入りに追加
193
あなたにおすすめの小説


いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。


イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
ハイスペックED~元凶の貧乏大学生と同居生活~
みきち@書籍発売中!
BL
イケメン投資家(24)が、学生時代に初恋拗らせてEDになり、元凶の貧乏大学生(19)と同居する話。
成り行きで添い寝してたらとんでも関係になっちゃう、コメディ風+お料理要素あり♪
イケメン投資家(高見)×貧乏大学生(主人公:凛)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる