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ー希望ー56

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「だからだな……俺はお前に達かせてもらったけど、お前はまだだっただろ? ってことを言いたかっただけだ」
「心配してくれるん?」
「ああ、まぁ……一応な」

 流石に望は恥ずかしくなったのか雄介とは反対側を向いてしまう。

「別に俺は大丈夫やって。 ホンマ、今は望とこうして平和に居れることが一番の幸せやしな。 やっぱ、俺……消防士を辞めて良かったと思うとるわぁ。 確かに、消防士として働きだした頃は人の命を助けたりしたいとか思うとったけど、こうやって、自分の命を落とさずに人を助けられる仕事に移れたし、望とずっと一緒に居られることがなによりの幸せやしな」
「じゃあ、わざわざホテルにまで来なくても良かったんじゃないのか?」
「んー、まぁ……そ、やなぁ?」

 雄介が最後まで言葉を言い切らないうちに望は半身を起こし雄介のモノを握ると、それを口の中に含む。

「ちょ、何してんねん!」
「お前は優し過ぎんだよ! 俺だって、俺だけが気持ち良くなって、いい気持ちはしねぇよ。 俺だって、お前のことが好きなんだからさ……こういうことは二人が気持ち良くなることがいいことだろうが……」

 雄介は一瞬、望のその言葉に目を丸くしたのだが、視線を天井へと向け、

「確かに、望の言う通りやな。 自分のことしか考えてなくて望の気持ちまでは考えてなかったわぁ」
「後、お前に足んないものと言えば、その優しすぎるとこと、人の気持ちにならないとこだよな?   そこは和也の方がまだまだ上だぞ」
「ん、まぁ……覚えておく。 確かに、そこは和也の方が上やんな。 やっぱ、和也は凄いわぁー、優しいねんけど、ー時には厳しく、人のことをよく見てる気がするし、よう気遣いが上手いしな」
「そういうこと。 アイツは人の性格をよく見てるよ。 俺はアイツに何度助けられたことか……」
「ホンマ、アイツは凄いわぁ。 ホンマに和也は看護師が天職みたいやね」
「アイツが言ってたけど、もしかしたら、医者にも向いているのかもしれねぇぞ……アイツの親父も医者だったってことを聞いたことがあるしよ。   ただ、親父が早くに過労で死んでしまったから、母親だけだから、看護師にしたって言ってたしな。 和也の母親も看護師だったらしいからよ」
「そうやったん?」
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