1,854 / 2,140
ー希望ー8
しおりを挟む
雄介がそう独り言を漏らしていると、未だに資料等々に視線を向けながら望が雄介へと声を掛ける。
「そろそろ行くぞー」
いきなり声を掛けられ雄介は焦ったように、
「あ、ああ……そ、そうやな……もう、そないな時間になっとったんか」
「まぁ、そういうことだ!」
望は手に持っていた資料をまとめると、席を立ち上がるのだが、急に望は体を揺らつかせ、後ろに倒れそうなところを雄介が支える。
「望! 大丈夫かぁ!?」
「あ、ああ……大丈夫だ……。 ちょっと、頭がボッーとしちまっただけだし……」
「望は頑張り過ぎやって、せやから、一気に疲れが出てくるんやと思うんやけどな。 しかも、さっき俺等を怒った時に頭に血が登ったんやろ?」
雄介は望の額に手を当て、
「熱は無いみたいやから。 今のはただの貧血やと思うねんけどな。 それに望は痩せとるし、普段、ホンマ忙しそうにしておったしな。 もし、心配やったら、望の親父のところに行ってみた方がええのかもしれへんな……」
さっきまで雄介は望に怒られていたのだが、プライベートと仕事と分けようと努力している雄介。 きっと今はプライベートの事で望のことを心配したのであろう。
「あ、ああ……とりあえず俺の方は大丈夫だ。 雄介の言う通り、ただの貧血だと思うしな……あ、いや……最近、すいみ……」
望はそこまで言いかけたのだが、それを言ってしまえば更に雄介が心配するだろうと思い、どうやら言葉を止めてしまったようだ。
「……睡眠!?」
言葉を止めてしまっていてもそこまで言っていれば誰が聞いても『睡眠』という単語が出てくるであろう。
「睡眠、取れてないんか?」
「あ、いや……」
そう言いよどむ望。 だが、そんな望に雄介は、
「睡眠不足やってことやな。 そないに睡眠が取れない程、心配なこととかが沢山あるって事なんか?」
「あ、いや……ない……」
そう答える望なのだが、その雄介の質問に対して完全に視線を逸らしてしまっているのだから嘘だっていうのは一目瞭然だ。
「それじゃあ、何で睡眠が取れてないん?」
「もう、だから、平気だって言ってんだろ!」
望は雄介の腕から離れると怒った風に立ち上がってしまう。
「平気とか言うてるけど……。 今、一瞬倒れそうになった原因が睡眠不足なんか? 貧血なんか? 分からへんと他の病気の可能性やってあるかもしれへんのやぞ! 望は医者なのだから、その辺は自分でも分かるやろ? って、もし、他の病気やったらどないすんねんって……」
「そろそろ行くぞー」
いきなり声を掛けられ雄介は焦ったように、
「あ、ああ……そ、そうやな……もう、そないな時間になっとったんか」
「まぁ、そういうことだ!」
望は手に持っていた資料をまとめると、席を立ち上がるのだが、急に望は体を揺らつかせ、後ろに倒れそうなところを雄介が支える。
「望! 大丈夫かぁ!?」
「あ、ああ……大丈夫だ……。 ちょっと、頭がボッーとしちまっただけだし……」
「望は頑張り過ぎやって、せやから、一気に疲れが出てくるんやと思うんやけどな。 しかも、さっき俺等を怒った時に頭に血が登ったんやろ?」
雄介は望の額に手を当て、
「熱は無いみたいやから。 今のはただの貧血やと思うねんけどな。 それに望は痩せとるし、普段、ホンマ忙しそうにしておったしな。 もし、心配やったら、望の親父のところに行ってみた方がええのかもしれへんな……」
さっきまで雄介は望に怒られていたのだが、プライベートと仕事と分けようと努力している雄介。 きっと今はプライベートの事で望のことを心配したのであろう。
「あ、ああ……とりあえず俺の方は大丈夫だ。 雄介の言う通り、ただの貧血だと思うしな……あ、いや……最近、すいみ……」
望はそこまで言いかけたのだが、それを言ってしまえば更に雄介が心配するだろうと思い、どうやら言葉を止めてしまったようだ。
「……睡眠!?」
言葉を止めてしまっていてもそこまで言っていれば誰が聞いても『睡眠』という単語が出てくるであろう。
「睡眠、取れてないんか?」
「あ、いや……」
そう言いよどむ望。 だが、そんな望に雄介は、
「睡眠不足やってことやな。 そないに睡眠が取れない程、心配なこととかが沢山あるって事なんか?」
「あ、いや……ない……」
そう答える望なのだが、その雄介の質問に対して完全に視線を逸らしてしまっているのだから嘘だっていうのは一目瞭然だ。
「それじゃあ、何で睡眠が取れてないん?」
「もう、だから、平気だって言ってんだろ!」
望は雄介の腕から離れると怒った風に立ち上がってしまう。
「平気とか言うてるけど……。 今、一瞬倒れそうになった原因が睡眠不足なんか? 貧血なんか? 分からへんと他の病気の可能性やってあるかもしれへんのやぞ! 望は医者なのだから、その辺は自分でも分かるやろ? って、もし、他の病気やったらどないすんねんって……」
0
お気に入りに追加
193
あなたにおすすめの小説

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
ハイスペックED~元凶の貧乏大学生と同居生活~
みきち@書籍発売中!
BL
イケメン投資家(24)が、学生時代に初恋拗らせてEDになり、元凶の貧乏大学生(19)と同居する話。
成り行きで添い寝してたらとんでも関係になっちゃう、コメディ風+お料理要素あり♪
イケメン投資家(高見)×貧乏大学生(主人公:凛)

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる