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ー平和ー98

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 それから一ヶ月後。 望は無事退院の日を迎えた。

 その退院の日。

 雄介が学校を終え夕方迎えに来る間、病室でゆっくりとしていると、和也と朔望がやってくる。

 望は和也達の姿を見ると、溜め息を吐くのだ。

「何も溜め息を吐く必要なんかねぇじゃねぇかよー」
「せっかく、ゆっくりしていたのに、お前達が来るとうるせぇからだよ」
「別にうるさくはねぇだろー」
「うるさいの……特に和也はな」
「ま、それは置いておいてさぁ。 やっと、明後日から望は仕事復帰だなぁ」
「まぁなぁ」
「やっぱ、俺は望と仕事が出来る方がいいやー」

 その和也の言葉に何か引っかかるものがあったのか、朔望は和也の顔近くまで顔を近付け、

「やっぱり、和也は僕と仕事するより兄さんとの方がいいんだー?」
「ああ、当たり前じゃねぇか! やっぱ、朔望とより望との方がやりやすいっていうの?」
「そうか……。 やっぱり、和也だねぇ。 物事をハッキリ言うタイプって言うの?   きっと、兄さんにこんなこと言ったら、和也みたくハッキリとは言わないと思うんだけど……」
「どうだろうな?   多分、こういうことっていうか仕事のことに関しては望はハッキリ言うぜ。 ただ、恋愛とか恋人とかの話になると、ハッキリとは言わねぇかもしれねぇけどな」

 最初、真面目に答えていた和也だが、最後の方はにやけながら話す。

「そうなんだね」

 そう朔望が納得していると、望は横から口を挟み目を座らせながらも、

「あのなぁ、雄介との事はハッキリしてるぞ。 俺も雄介のことが好きだからな」

 そう望は真面目に言った筈だったのだが、和也と朔望は目を見開き望のことを見つめる。

「おい! それって、どういう反応だよー」
「まさか、望の口からこうもストレートに雄介のことが好きだー! って言わないと思ってたから、驚いたっていうの?」
「うん! 確かに! 兄さんの性格上、そうハッキリと言うとは思ってはいなかったかなぁ?  だから、意外だったんだよねぇ」
「お前等なぁ」

 と半分キレながら望は和也のことを追い掛け始める。

「お、おい! いきなり、なんだよー! しかも、俺だけを追い掛けるって!」

 と言いながらも和也は病室内を望から逃げ回っているようだ。
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