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ー平和ー70
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雄介は携帯を開くと、メールの内容を確認する。
『雄介……やっぱり、裕実の姿が見当たらないんだけど……』
と和也からそう不安そうな言葉が書かれているメールが送られて来た。
雄介は手術中のランプを見上げると、まだ望の手術が終わりそうもない事を確認すると、病院の外へと向かい和也へと電話をするのだ。
何回かの呼び出し音の後、荒い息遣いと共に和也は電話へと出る。
「雄介か? 望は大丈夫なのか?」
「望の方はまだ手術室に入ってるけどな……まぁ、大丈夫っちゃ大丈夫やろ? ほんで……? 裕実達はまだ見つからんの?」
雄介は少し言いにくそうに言うと、和也の方は雄介の言葉に答えるかのように、
「ああ……。 今は大分、人が減ってきてんだけど、裕実の姿はまだなんだよな。 まだ見当たらねぇんだよ」
「な、なぁ、裕実の携帯に電話してみたか? 意外に裕実だけは家に居てるかもしれへんで!」
「悪いけど……もう、電話してみたよ。 だけど、出たのは警察だし、その裕実の携帯は俺の手の中にあるしよ。 どうやら、この銀行強盗事件の時に犯人が人質になってる人の携帯を集めたらしんだよな。 それで、その中に裕実の携帯もあったっていう訳だ」
「あ、ああ、スマン……事情知らんくて……そういう事やったんかぁ」
その和也の言葉に雄介はそう気不味そうに返事をし、もう、どう和也にフォローしたらいいもか分からないようだ。
「だけど、何で……裕実だけが見当たらねぇんだろ?」
そういつも以上に暗い声で言う和也は本当に裕実が見つからなくて不安そうだ。
今の雄介の状態よりも和也の方がより不安だろう。 だって望は怪我しているものの居るのだから。 そして裕実の方はまだ全然見当たらないのだから。
雄介はそんな和也の状態に気付き和也より明るい声になると、
「大丈夫やって……! 『便りがないのは元気な証拠』って言葉がある位なんだからな。だから大丈夫なんやと思うで……」
その雄介のフォローも虚しく、
「まぁ、そんなのかもしれないけど……でも! それは昔の話で、今は携帯っていう便利な連絡する手段があるんだぞ! その言葉は携帯が無い頃の言葉だろ?」
「あ、まぁ、そうやな……そやったなぁ……」
こうなんとかして雄介は和也のフォローをしようとしているのだが、言った言葉全てが完全に役に立たなかったようだ。 一瞬にして和也に否定されてしまったのだから。 そして二人の間に沈黙が流れてしまう。
と、その時、
「ここに居たのかい? 探したよ……」
雄介に声を掛けて来たのは颯斗だ。
「吉良先生は、もう大丈夫だ。 幸い撃たれたのが足だったから、致命傷にならずに済んだからね。 ただ出血が思った以上に多かったっていう位かな? いったい、何があったんだい? この日本において一般人が銃に撃たれるってことはほとんど無いと思うんだけど……」
『雄介……やっぱり、裕実の姿が見当たらないんだけど……』
と和也からそう不安そうな言葉が書かれているメールが送られて来た。
雄介は手術中のランプを見上げると、まだ望の手術が終わりそうもない事を確認すると、病院の外へと向かい和也へと電話をするのだ。
何回かの呼び出し音の後、荒い息遣いと共に和也は電話へと出る。
「雄介か? 望は大丈夫なのか?」
「望の方はまだ手術室に入ってるけどな……まぁ、大丈夫っちゃ大丈夫やろ? ほんで……? 裕実達はまだ見つからんの?」
雄介は少し言いにくそうに言うと、和也の方は雄介の言葉に答えるかのように、
「ああ……。 今は大分、人が減ってきてんだけど、裕実の姿はまだなんだよな。 まだ見当たらねぇんだよ」
「な、なぁ、裕実の携帯に電話してみたか? 意外に裕実だけは家に居てるかもしれへんで!」
「悪いけど……もう、電話してみたよ。 だけど、出たのは警察だし、その裕実の携帯は俺の手の中にあるしよ。 どうやら、この銀行強盗事件の時に犯人が人質になってる人の携帯を集めたらしんだよな。 それで、その中に裕実の携帯もあったっていう訳だ」
「あ、ああ、スマン……事情知らんくて……そういう事やったんかぁ」
その和也の言葉に雄介はそう気不味そうに返事をし、もう、どう和也にフォローしたらいいもか分からないようだ。
「だけど、何で……裕実だけが見当たらねぇんだろ?」
そういつも以上に暗い声で言う和也は本当に裕実が見つからなくて不安そうだ。
今の雄介の状態よりも和也の方がより不安だろう。 だって望は怪我しているものの居るのだから。 そして裕実の方はまだ全然見当たらないのだから。
雄介はそんな和也の状態に気付き和也より明るい声になると、
「大丈夫やって……! 『便りがないのは元気な証拠』って言葉がある位なんだからな。だから大丈夫なんやと思うで……」
その雄介のフォローも虚しく、
「まぁ、そんなのかもしれないけど……でも! それは昔の話で、今は携帯っていう便利な連絡する手段があるんだぞ! その言葉は携帯が無い頃の言葉だろ?」
「あ、まぁ、そうやな……そやったなぁ……」
こうなんとかして雄介は和也のフォローをしようとしているのだが、言った言葉全てが完全に役に立たなかったようだ。 一瞬にして和也に否定されてしまったのだから。 そして二人の間に沈黙が流れてしまう。
と、その時、
「ここに居たのかい? 探したよ……」
雄介に声を掛けて来たのは颯斗だ。
「吉良先生は、もう大丈夫だ。 幸い撃たれたのが足だったから、致命傷にならずに済んだからね。 ただ出血が思った以上に多かったっていう位かな? いったい、何があったんだい? この日本において一般人が銃に撃たれるってことはほとんど無いと思うんだけど……」
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