【1/完結】ノンケだった俺が男と初体験〜ツンデレ君には甘いハチミツを〜

ー平和ー14

　本当に今日の和也は説得力があるというところであろうか。　再び裕実は口を閉ざしてしまうのだ。

「望、雄介はそういうことらしいぜ」

　和也がそう言うと、望は立ち上がりリビングを出て行ってしまう。

　雄介は顔を俯かせているだけで、望のことを追い掛けようともしないようだ。

　そんな雄介に和也は一つ溜め息を吐き、

「お前、本当に変わっちまったんだな。　昔のお前なら、今、望が出て行っちまった後を追い掛けてただろ？　だけど、今のお前っていうのは、今日は望のことを追い掛けたりしねぇんだな」
「……今はもう……」

　そうそれ以外、口にしようとしない雄介。

「正式にまだ別れてねぇんだぜ。　それに、今なら、まだ、間に合うと思うんだけど……別れないで居るって事。　つーかさ、お前等って恋人同士じゃないのか？」

　和也はそう雄介に向かって説得だか説教だかを言うのだ。

「本当、どうしちゃったんですか？　雄介さんらしくないですよー。　望さんを構えない程、そんなに勉強が忙しいですか？　それとも、勉強の方が大事なんですか？」
「勉強は大事やろ?   自分の道を見つけて、みんなの夢を叶える為に俺は今必死になって勉強しておるんやからな。　俺は周りの学生と違って、知識がまだまだないんやで。　周りの学生は親が医者とか小さい頃から医者になりたかった奴等ばっかりなんや、せやから、多少の知識は持っとるようやけど、俺にはまったく無い訳やで、せやから、みんな追い付いていかなぁアカンしな」

　やっと雄介が今の自分の状況を話してくれたおかげで、雄介の状況を把握する事が出来たという所であろう。

「そういうことなら、雄介の言う通り。　お前等は一旦別れた方がいいんじゃねぇのか？　今の雄介って奴は本当に望に構っている暇がねぇみたいだしよ」

　和也はもう一度雄介の方へと向き直すと、

「望と別れるんなら、お前は一回、この家から出て行け！　じゃねぇと、望が可哀想だからな。　そして、もし、望に恋人が出来たとしたら、何も言うんじゃねぇぞ！　その覚悟があるんだったら、一旦、望と別れろ！」

　和也からしてみたら最後の最後に雄介にもう一度、本当に望と別れるのか雄介に確認する為に最後のチャンスを与える。

　雄介は和也のその言葉に暫く考え、立ち上がると、

「やっぱ、アカン！　和也、ありがとうな！　やっぱ、アカンという事が分かったわぁ。　そう、俺が望から離れるのはな！　それに、和也の言う通りやな……俺と別れとる間に、もし、望に恋人が出来たら、俺が望に言う権利ない！　っていう事だもんな」