【1/完結】ノンケだった俺が男と初体験〜ツンデレ君には甘いハチミツを〜

ー平和ー4

　それから仕事を終えた二人は自分達の部屋へと戻って行く。

　そして望は相変わらずパソコンと睨めっこを始めるのだ。

　和也が何も話さなければ静かな室内。　ただ望が叩くパソコンのキーボードの音と和也が部屋内を掃除する箒の音しか今は無い。

　そんな中、和也は溜め息を漏らす。

　今はそんな音さえ部屋内に響いてしまう位静かだ。

　そして和也は溜め息の後に望に声を掛ける。

「今朝のことは分かったけどさ。　何で望は俺に色々話してくれねぇんだ?」

　そう和也が問っても部屋内には望が叩くキーボードの音しか響かない。

　和也は再び溜め息を吐くと、

「分かった……。　本当に俺に相談してくれねぇんならいいよ。　ただ、俺の話を少し聞いてくれねぇか?」

　和也はそう言うと、掃除し終わった箒を用具箱に入れソファへと腰を下ろす、望の方へと視線だけを向け、

「俺はお前が恋愛とか恋人のことについてあまり話さないのは知ってるけど、前にお前が言ったことがあったんじゃねぇのか？　俺が恋愛に関して悩んでいる時に『俺等は親友なんだから、相談事があればいつでも相談に乗ってくれる』って……。　あん時、俺だって、なかなかお前等には話をしなかったけど、それでも、お前達にちゃんと相談して、解決してくれただろ?   だから、相談って、結構重要なんだと思うぜ。　相談っていうのは出来る。　だけど、結果というのか最終的に何事を決めるっていうのは自分でいいんだからさ……。　何で、あんなにラブラブでしかも最近は喧嘩もしてねぇ位なのに、望は最近、不機嫌なんだ?」

　望は小さな溜め息を吐くと、聞こえるか聞こえないかの声で、

「……最近、俺達は忙しいからだ」

　と、いう事だけを口にする望。

　望の微かな声に和也は耳をピクリと動かすと、望の言葉を復唱する。

「俺達は忙しいから……?」
「雄介は学校の勉強、俺は仕事で忙しいからな……」

　それだけしか口にしない望に和也は目を宙に浮かばせ、再び静かになった部屋で考える。

「……忙しい、ね……。　……だから、最近はイチャイチャも出来てねぇし、欲求不満だしーってことか?」

　和也は半分ふざけたように言ったつもりだったのだが、望は突然立ち上がり真っ赤な顔をして何故か和也の頭を軽く叩くのだ。