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ー決心ー98

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「それにしても、ホンマ遅いなぁ。 救助を待つ気持ちが分かる気がするな」
「そっか……雄介は今まで助ける側だったんだもんな」
「そういうこっちゃ」
「でも、何で雄兄さんはレスキュー隊員を辞めてしまって、医者になろうと思ったの?」
「お前には関係ないことだろー!」

 そう雄介に声を掛ける歩夢にムスッとしたように答える望。

 雄介はそんな望に何かに気付いたのであろう。

「望……もう、歩夢とはいがみ合わなくてもええんやで。   歩夢はもう俺にも望にも手出さへんってことになったんや。 さっき、歩夢に話をつけたからな」
「ふーん、そうだったのか」

 そう望より先に言葉を発したのは和也だ。

「そういうことー、だから、これからは、望兄さん、仲良くしていかない?」

 あまりにも突然過ぎて、望は、どうやら言葉にならないようだ。

「……って、どういうことだ?」
「ん? まさか、お前、雄介が言った言葉を理解してねぇの? だから、歩夢はもう望にも雄介にもちょっかい出さないんだってさぁ」
「そういうことー!」
「俺が歩夢にきちんと断ったんやってー。 『俺は歩夢より望の方がええから、諦めて』ってな」

 望はやっと理解出来たのか、一息吐くと、

「そういうことか……」

 望は理解したと同時に笑顔を漏らすのだ。

「だからさぁ、今度からは、歩夢と仲良くしていったらどうだ? そりゃ、望と歩夢は二十年以上も離れて暮らしていたけどさ、せっかくの兄弟なんだしよ。 俺なんか兄弟いないんだからさぁ。 兄弟っていうのが羨ましいんだよなぁ。 特に雄介んとこの兄弟は仲いいしさ」
「ま、確かに……仲のええ兄弟はええよ。 せやせや、和也の言う通りやわぁ、せっかくの兄弟なんやし、仲良くやっていった方がええで……」
「っていうけどさ……いきなり、歩夢と仲良くなるって言ってもな」
「兄さんの言う通りだよねぇ。 僕もいきなり兄さんと仲良くなるって言っても想像つかないっていうのかなぁ?」
「ま、まずは自然に話せるようになるってこっちゃな」
「俺は兄弟がいないから、雄介のようにアドバイスは出来ねぇけど……ま、雄介の言う通りなんだろうなぁ」
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