【1/完結】ノンケだった俺が男と初体験〜ツンデレ君には甘いハチミツを〜

ー決心ー1

　ーー春。
　
　春というのは別れもあれば出会いもある季節だ。

　学校の卒業、会社の転勤と、別れ方は人様々ではあるが、逆に入学や入社で出会いもある。

　桜が散ってしまい、暖かい緑の風が体を包む頃には、学生達は新しい制服に身を包んで学生達は入学式へと向かうだろう。

　新しい洋服に包まれ親に手を引かれて笑顔で学校へと向かう子供達。

　緊張した面持ちで、会社へと向かう新入社員。

　そんな中、ある人物は学校の門の前で佇んでいた。

　その人物は学校の門の前で軽く笑みを溢すと、気持ちを切り替えたのか力強い眼差しをし門の中へと足を一歩ずつ踏み入れる。

　そしてキャンパスの前まで来ると、その歩みを止め目の前にあるキャンパスを見上げ、

「今日から、俺は自分が見つけた道を歩み始めるんやな。　しっかし、あれやなぁ、まさか、この俺がホンマに大学の医学部に行けるなんて思うてもなかったわぁ」

　そう雄介は独り言を漏らすと、キャンパス内へと歩き始める。

　もう既に学校の入学式というのは終わってた。　そして今日からはこの学校では講義やら何やらと大学らしい授業が始まるようだ。



　思え返せば、約三ヶ月前。

　雄介は久しぶりに受験生の気分を味わった期間でもある。

　願書提出から一次試験である学力テスト、それに合格すると、二次試験では面接と雄介はこなして来た。

　そして時は過ぎ今雄介は大学のキャンパス前に立っていたのである。

　確かに半年位前に望と散々話し合った。　いや、その前から話し合っていたのかもしれない。　でもその甲斐あってか雄介は自分が決めた道を歩むことにし、医者になる為に望と一緒に勉強してきたが、まさか本当に医学部へと行けるもんだとは思ってもみなかったのかもしれないという事だ。



　その医学部で約一ヶ月前に合格発表があった。

　その時、雄介の合格発表に付いて来たのは恋人である望だけではなく、何故か関係のない和也や裕実、そして雄介の姉である美里も見に来ていた。

　まだコート一枚位を上に羽織っていないと、寒いと感じるような季節。

　雄介はみんなが居る前で、合格発表ボードを見上げる。

　一人でこう一生懸命、受験番号と掲示板と照らし合わせていると、雄介の肩越しから顔を覗かせ雄介と一緒に掲示板と受験番号と照らし合わせてくれている人物がいた。　いや寧ろ雄介はその人物に探してくれとは頼んでいないのだが。

　その人物も雄介と同じように受験票の番号と張り出されている合格番号と照らし合わせてみてるようだ。

　とその時、雄介の後ろにいた人物が大声を上げ、

「あった！　あった！　ちょ、あった！　な、なぁー、雄介！　見てみろよ！　あれ、お前の番号だろ？」