【1/完結】ノンケだった俺が男と初体験〜ツンデレ君には甘いハチミツを〜

ー天使ー143

「ああ、分かってる」

　二人はお風呂から上がると、雄介は大きな腕で望の体を包み込むように眠りにつくのだ。



　それから琉斗が前に言っていた運動会の日。

　裕実と和也は琉斗と一緒に幼稚園へと向かうと、望と雄介の方は美里を迎えに病院へと向かう。

「良かったなぁ、姉貴……琉斗の運動会に行けて」
「何言ってんのよ。　母親強しって言葉があるでしょ。　息子の為なら、治すに決まってるじゃなーい。　ま、でも、一番は吉良先生に治してもらったってことだけどね」
「違いますよ。　やはり、美里さんの言う通りだと俺は思います。　医者は患者さんの悪いとこを治すだけですから。　後は患者さんの気持ち次第で今まで頑張って病気に勝って来たんですからね」
「そうですけど。　病気というのは、お医者さんに治していただかなければ、自然に治る訳ではないですからね。　風邪とか軽い病気なら兎も角、手術をしなければならない病気となるとお医者さんの力は不可欠ですから」

　その美里の言葉に望は言い返せなくなったようで、少し恥ずかしそうに顔を俯けてしまう。

　そして美里は今度、雄介のことを見上げ、

「前に雄ちゃんが医者になりたいって言っていたけど、吉良先生みたいにしっかりとしたことを患者さんに言えるのかしら？　貴方は確かに優しい……だけど、しっかりとした意見が言えないとこがたまに傷なところなのよね。　医者という職業は今の仕事とは違って、上の命令を聞くのではなく、自分の意志で判断をし、動く職業なのよ」
「分かっておるって。　姉貴は俺に自分の意志を持って、ちゃんと意見が言えるようになって欲しいって言いたいんやろ？　そこは望にもハッキリ言われたしな。　それを踏まえた上で医者になるって決めたんや。　だから、心配せんでも大丈夫やって……」
「ま、そんな雄ちゃんだけど、これからは雄ちゃんをバシバシっと鍛えていっちゃって下さいね」
「分かってますよ」

　望は美里に笑顔を向けると、

「さて、行きましょう。　琉斗君が幼稚園で待ってますから」
「そうですね。　息子の成長を見守るのも母親の役目ですから」