【1/完結】ノンケだった俺が男と初体験〜ツンデレ君には甘いハチミツを〜

ー天使ー74

　そんな雄介の言葉に口を挟んだのは和也だ。

「望は雄介が寝ていないことが心配なんだろ?   ……で、雄介はちょっとでも寝れば行けるって言うんだったらさぁ。　雄介は車で寝たらいいんじゃね?   こっから、遊園地まで一時間は掛かる訳だしよー。　それに今日は日曜日だから、道が混んでる可能性が高い訳だし……一時間以上掛かるかもしれねぇしさぁ」
「分かった！　遊園地に行くのはいいんだけどさ。　雄介、忘れてないだろうな?   今日はお前をテストするって言ったことをさ。   まさか、それから逃れる為に遊園地に行こうって言った訳じゃねぇだろうな！？」
「まさか、それは流石に思うてなかったんやけど、テストのこと……素で忘れておっただけだってぇ」

　雄介は本気でテストのことを忘れていたのであろう頭を掻きながら乾いた笑いをしている位なのだから。

　そんな雄介に望は呆れたような溜め息を漏らす。

「ま、いいや……とりあえずさぁ、遊園地には行くんだろ?   ならさ、準備してこないとだよなぁ？」

　そう和也は笑顔で言うと、今度、望が雄介に向かい、

「とりあえず、雄介……テストは帰って来てからでいいよ。　今からテストしてたら、遊園地に行くのが遅くなっちまうだろうからな」
「せやな」

　雄介は琉斗のことを抱き上げ立ち上がると、一旦、琉斗を床へと立たせ、

「遊園地に行くことになったし、準備して来ぃや」
「うん！」

　琉斗はその雄介の言葉に元気よく返事をすると、着替える為に二階へと上がっていく。

「良かったですね。　遊園地に行けるようになって。　琉斗君、凄い笑顔になってましたよ」
「そうだな」

　和也は裕実の言葉に笑顔で答えると今度は望の方へと顔を向け、

「……って、マジでお前は遊園地に行ったことがねぇのか?」
「ねぇよ」

　そう素で答える望。

「そうなんだ。　なら、今日はうんと遊園地で楽しめよ！」

　和也は望に向かい笑顔で言うのだが、一方、望の方は呆れたような表情をしていた。

「あのな……俺は子供じゃねぇんだから別に楽しもうとは思ってないさ」
「ま、いいから……いいから……楽しめばいいじゃねぇかぁ。　ま、俺は楽しむけどな」
「楽しむのは勝手だが、明日に差し支えるようなことは避けろよ」
「分かってるって！」