【1/完結】ノンケだった俺が男と初体験〜ツンデレ君には甘いハチミツを〜

綺羅 メキ

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ー過去ー171

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  雄介は朝言っていたように車の運転席の方へと周り望は助手席の方へと腰を下ろす。

 望は車の窓のウィンドーの下部分に肘を掛け窓の外を流れる景色を眺めるのだ。

「な、雄介が言ってるレストランって、あの展望レストランの事を言ってるんだろ?」
「ああ、そやで……」
「……そこでもいい思い出っないんだったよなぁ?」

 その望の言葉に前へとつんのめりそうになる雄介。

「ま、確かにな……あれっきり行ってなかったけど、確かに、望の言う通りやんな。 いい思い出がある所ではなかったやんな。 せやけど、この辺でいいレストランって望に教えて貰ったあのレストランしかなかったしな」
「今はネットで調べたら色々と出てくるもんだろ?」
「ん、まぁ……そうやねんけど。 ほな、キャンセルするか? 今からやったら普通のレストランでも平気そうやしな」
「あ、いや……別にいい……お前が思い出のレストランって思っていて、そこを選んでくれてるんだったらな」
「んー……まぁ、そやな……確かに、印象に残ってるレストランやって言えばそうやねんけどな。 夜の夜景は綺麗やったし、いい思い出もあれば、あまりいい思い出がない所なんかな? あん時、悩んでいた俺を一時間も飯食わんと望は待っておった所でもあるしな……」
「普通だろ? 二人共、忙しい仕事してんだ。 一時間の遅刻位は我慢出来る範囲だろ?」
「まぁな……。 でも、あん時、ホンマは仕事終わっておったんやけど、その日はずっと俺的には悩んでおったからな」
「俺に異動の事伝えるか? 伝えないか? っていう事をだろ?」

 雄介が言おうとしていた言葉を望は繋げて言うのだ。

「そや……。 だって、望がその日の朝に『一緒に住もう』って言ってくれたのに、その日に俺には異動の通知が来ておったんやもんなー。 そう簡単に望にその事を言える訳ないやんか」
「……で、雄介が何か隠している事に気付いて、俺がそんなにその事について追求しなかったから、お前は俺に何も言わずに大阪に行ってしまったっていう事か」
「もう、その事については掘り出さんといてー。 今はめっちゃ反省しとるしな。 もし、今度また異動の話があったら、ちゃんと望には話すしな」
「当たり前だ。 そういう事を言ってからいなくなるのと、言わないでいなくなられるのと、どっちが辛いと思ってんだよー」
「分かっておるって……今度からは絶対に言うしー」
「ま、多分、これからは異動は無いと思うけどな」
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