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ー過去ー164

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 そんな雄介の行動だけでも今の望は甘い声を吐き出すのだ。

「気持ちええのか?」

 雄介はそう切なそうな顔をしながら何度も何度も望の頭を撫でてはキスを繰り返す。

「ゆ、雄介……も、いいから。 この後、どうしたらいいんだ?」
「んー……やっぱり、アカン……望に動いてもらうのは、どうも好かんなぁ」

 雄介はそう言いながら半身を起こそうとしたのだが望は雄介の両肩に手を置き雄介の体をベッドへと沈ませる。

「確か……俺が腰動かしたら良かったんだったよな?」

 望は腕を組むと雄介の方へと視線を向け、

「やっと、お前の性格が分かって来たような気がするぜ。 確かにお前は優し過ぎっていうのもあるけど……体に似合わずヘタレって事なんだよな」

 その望の言葉に流石の雄介も耳をピクリと動かし、

「違うんやって……」
「いいや……違う訳がねぇ! 現に俺の事動かす事が出来てねぇじゃねぇか……それに、この前、裕実に聞いたらさ、俺や裕実側の人間っていうのもモノを舐めるって事聞いたんだぜ。 なのに、お前は俺に一回もやらせた事もなかったしな」

 雄介は心配そうな顔で望の事を見上げると、

「望はそんな俺でも大丈夫なん? 意地悪な俺でも大丈夫なんか?」
「だ、大丈夫だから言ってんだろうが」

 そう改めて聞かれると急に望は恥ずかしさが増して来たのか望は真っ赤な顔をしながら雄介から視線を逸らしてしまうのだ。

「ホンマにか?」
「……だ、大丈夫だって」
「何で、そんなに自信なさげなん?」
「そりゃ……」

 何かこう言いにくそうにしている望。

「分からねぇからだよ……だから、少し不安っていうのはあるんだしな」
「意地悪な俺がか? ほんなら、ええわぁ。 やっぱり、いつもの俺で行くし」

 再び雄介は半身を起こすのだが望はまた雄介の事をベッドへと沈める。

「ちょ! なんやねんって! ホンマ、今日の望は分からんわぁ!」
「やるって言ってるんだから、やらせろよ」
「せやけど、自信ないねんやろ?」

 条件反射だったのか無意識だったのか、そこは分からないのだが望はその言葉に頭を頷かせる。

「ほんならええって……望には無理な事させちうないし」

 望は首を横に振ると意を決したかのように雄介の首の辺りや胸の辺りをこう辿々しく舐め始める。

「ん……ちょ、望……いきなり、なんやねんって!」
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