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ー過去ー84

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 その望の意味ありげな言葉に裕実は、

「他に何かありますか?」
「ん? 体の調子が悪いとかな? 多分、和也ってきっと自分が病気になってる時とかっていうのは言わないと思うんだよな」
「あ、確かにそうなのかもしれません。 和也は基本的に人に迷惑を掛けたくないって思うタイプですからね。 それもあり得そうですよねぇ」
「とりあえず、裕実が確かめてみてくれねぇか? 流石に寝る時っていうのはお前と一緒に寝たいと思うしな。 体くっつけりゃあ、体温位軽く測れるだろ?」
「でも、もし、和也が嫌がったら?」
「和也に限って、そんなことはしねぇだろうし、逆にそんな事をしたら間違い無く体の調子が悪いっていうのは決定的な事だろ?」
「そうですね。 じゃあ、次、和也がお風呂から出たら僕が入って来ますね」
「ああ……」
「そうだ! 今日は僕達が一緒に寝たらいいんじゃあないんでしょうか?」
「そこはいつものように二階の客間で寝たらいいんじゃねぇのか?」
「分かりましたー」

 そう裕実が大声で返事すると、丁度、和也がお風呂から上がって来たようだ。

「望、風呂サンキューな。 はぁー、サッパリした」

 和也は再びソファの方へと腰を下ろすと望の方に顔を向け、

「とりあえずさぁ、今日は俺一人で地下室の方で寝るから……」

 その和也の言葉に目を丸くする二人。

「ひ、一人でか!? 裕実とは一緒に寝ないのかよー?」
「あ、まぁ……なんていうのかな? 今日は一人で寝たい気分っていうのかな? だからなんだけど……。 それに、望が可愛そうだろ? 雄介がいないのに、俺達二人だけがイチャイチャしてるのはさぁ」
「あ、ああ、まぁ、そうなんだけどよ……?」

 和也のその言葉に一応望は納得するのだが、裕実が望へと近付き望の事を見上げる。

「望さん! 和也のペースに巻き込まれないで下さいよー。 ぜっーたいに今日の和也は何か変ですから。 もしかしたら、望さんの言ってたように本当に調子が悪いのかもしれませんしね。 だから、僕は今日、和也と一緒に寝ますからね」
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