【1/完結】ノンケだった俺が男と初体験〜ツンデレ君には甘いハチミツを〜

ー過去ー83

「そうですよねぇ」
「まぁな。　やっぱり、お前と和也はお似合いのカップルなんだよな。　俺なら、そこまで和也の事上げるって事出来ねぇからさ」
「確かに望さんの性格でしたらそうですよね」

　その裕実の言葉に望はクスリとするのだ。

「お前も言うようになったなぁ」
「はい！　ちょっとずつ頑張ってみる事にしてみましたから」
「ああ、そんな風にでいいんだぜ。　但し、和也みたく、ふざけていい時とそうじゃない時と上手く使い分けるんだぞ」
「大丈夫ですよー」
「確かに、お前なら大丈夫そうだけどな」

　望はそこまで言うと最後のお皿を戸棚の中へとしまう。

「これで片付けおしまい！」
「はい！」

　裕実は望のその言葉に大きな返事をすると、

「じゃあ、僕達もゆっくりしましょうか？」
「そうだな。　だけど、今は和也の所には行きたくないって感じかな？」

　望はそこで呆れたようなため息を吐く。

「じゃあ、僕が和也にビシッと言って来ますよ！　望さんが好きじゃない番組じゃあ、みんなが楽しめないからってね」
「あ、ああ……おう」

　その裕実の意外な言葉に望の方は逆にどう答えたらいいのか？　っていうのが分からず、とりあえず返事だけすると裕実の方は本気で和也のところへと行ったようだ。

「ん？　まぁ、丁度、番組も終わった所だし、望が好きなのを見てもいいぜ。　って言ってもこの時間からじゃあニュースしかやってないだろうけどな」

　裕実は笑顔で和也の事を見上げる。　和也はリモコンでチャンネルを変えると、

「その間に俺は風呂に入って来るなぁ」

　そう言う和也なのだが、今日の和也というのはいつもより元気がないようにも思える。　いつもならそこで裕実と一緒に入る。　とか言って騒がしいのに今日の和也はそれがない。　寧ろの今の言葉からすると一人でお風呂に入って来る。　って言っているのだから。

「望……風呂借りるな」
「ああ」

　そう言うと、一人和也はソファを立ち本当に裕実の事を誘わないでお風呂場へと向かうのだ。

「アイツ、どうしちまったんだろ？」

　望は逆にその和也の行動に首を傾げてしまう。　そして、さっき和也が座っていたソファへと腰を下ろすのだ。

「確かのそうですよねぇ？　いつもの和也だったら僕の事を誘って、それで、望さんと言い合いになってるのに……。　まぁ、そこは少し成長したって所なんですかね？」

　そう裕実の方も首を傾げるのだ。

「あ！　いつもなら、和也は僕の事を誘って『お風呂に一緒に入るー』って言ってて、それで毎回のように望さんと和也が言い合いになっていて、それで、今日は和也が僕の事を誘わなかったって事は『毎回、毎回、そんな事をするのがバカらしくなった』だから、今日は言わなかったって事が和也は成長したのかな？　って思ったんですよ」
「まぁ、それならいいんだけどな」