【1/完結】ノンケだった俺が男と初体験〜ツンデレ君には甘いハチミツを〜

ー過去ー80

「望からそんな言葉が出てくるとはなぁ」

　その和也の言葉に焦る望。

「ちょ！　お、俺が何を言ったー！？」
「何も言ってはねぇぜ。　でも、こう心の中では嫉妬っていうのか羨ましいっていうのか……そんなニュアンスだったっいうのかな？　そうそう『今日は俺には雄介がいないんだ』ってな」
「俺はただお前等の惚気話を聞きたくないって言っただけで……」
「だから、その言葉だって言ってんのー」

　和也が言いたい事がやっと望にも分かったのか望の方は言葉を返せなくなってしまったのか黙ってしまうのだ。

「反論出来ないって事はそういう事だろ？」

　そう和也の方は勝ち誇ったように言うのだが、その和也の言葉に口を挟んだのは裕実だ。

「和也ー、望さんの事イジメないで下さいよー」
「イジメてるんじゃなくて、いじってるのー」
「どっちも似たような意味ですからー」

　そう裕実は頰を膨らませてまで和也に訴えるのだ。

「分かったって……。　なんなんだよー、二人してさぁ、寧ろ俺の方がイジメられてんじゃんか」

　今度、頰を膨らませたのは和也だ。　それに気付いた裕実は、

「和也！」

　そう言ったのにも関わらず裕実の事を無視している和也。

「もー！　もう、和也の事イジメませんから、無視しないで下さいよー」
「本当にか！？」

　和也の性格というのは本当に単純で、その裕実の言葉に振り向くと、

「はい！」

　と裕実の笑顔が飛び込んできた。

「分かったよ。　ここで俺の方が頷かないとマジで喧嘩になっちまうし、平行線になっちまうからな。　まぁ、とりあえず約束だぞ。　俺の方はお前等に手を組まれたら勝てないんだからな」
「分かりましたよ」
「まぁ、とりあえず、飯出来たしー、ご飯にしようぜ」

　和也の方はソファから立ち上がると再びキッチンの方に向かう。

　その後、望の方も立ち上がるとキッチンの方へと向かうのだ。

　そして望にしては珍しく、

「手伝うよ。　後、運ぶだけだろ？」
「別にそこは大丈夫だからさ」

　そう和也に言われたものの、

「いいんだ。　俺が手伝いたいから手伝うんだからさ……そんな事って滅多にない事だろ？」

　望の言葉に和也は笑顔になると、

「分かったよ……ありがとう」
「ああ……」

　望は和也に言われた通りに和也が作ってくれた料理をテーブルへと運んで行く。

「僕も手伝いますよ！」
「そうだな。　みんなでやった方が早く食べれるしな」
「はい！」