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ー過去ー73

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「まぁ、駄菓子屋さんに貢献したって事でいいか」
「とりあえずそういう事にしといてくれよ。 今の時代っていうのはさ、こういう店っていうのは減って来ているんだし、たまには貢献しないとだろ? じゃないと本当になくなっちまうからさ」
「まぁな……」
「だけど、俺等の小さい頃に比べてだけど、高くなった気がすんだよなぁ」

 和也は歩きながら今駄菓子を持っている袋を掲げる。

「前に十円で買えてたお菓子が今じゃあ二十円になってたりしてんだぜ」
「そうだったのか!?」
「ああ、小さい頃っていうのは、やっぱり、お小遣いの中で買わなきゃいけなかったらさ、それぞれの値段を覚えてたもんだからな」
「まぁ、確かに……小さい頃はお小遣いの中からってやるだったからな。 よく計算しながら買ってたような気がするわぁ」

 その望の言葉に和也は今度ふざけたような口調で、

「望ん家はお金持ちだったから計算せずに買えたんじゃねぇのか?」
「確かにお金持ちだったのかもしんねぇけど、俺の親父と母さんは海外で暮らしていて、俺はおばあちゃんに育てられたからな。 それに親父が仕送りしてくれて、ばあちゃんがやりくりしてたみてぇだし、それに、俺は小さかったからどれだけ仕送りしてくれてたって事なんか分からなかったしな。 だから、俺も駄菓子屋行く時なんかはちゃんと計算して買ってたもんだしな。 まぁ、それも勉強のうちだったのかもしれねぇけど」
「へぇ、そうだったんだな」

 と和也がそう言った直後に急に足を止める。

「さて、そろそろ真面目に夕飯の買物をしねぇとな。 先ずは八百屋からな」

 どうやら和也が足を止めたのは八百屋の前だ。 店頭には閉店間近だけあってか残りの野菜達が寂しそうに並んでいる姿が目に入る。

「茄子にサツマイモに人参かぁ?」

 和也は並んでいる野菜を確認すると、どうやら、その並んでいる野菜で何か今晩のメニューを頭の中で作っているらしいく暫くすると何を作るのかが決まったのか、

「よしっ! 夕飯は天ぷらにしよう!」

 そう主婦にみたいな雰囲気の和也に裕実はクスクスとしていた。

「和也ってたまに可愛いところありますよねぇ」
「何言ってんだ? 料理する時の基本みたいなもんだぜ。 例えば本を見ながらその材料だけを買いに行くってのと、冷蔵庫の中を見てメニューを決める人では、後に言った人の方が料理が上手い人だっていうのを聞いた事あるぜ。 だから、俺は店に並んでいる材料を見てメニューを決めたって訳だ」
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