【1/完結】ノンケだった俺が男と初体験〜ツンデレ君には甘いハチミツを〜

ー過去ー58

　 そんな和也の様子に裕実は気付かない訳がないだろう。

「いや、別に……」

　すると和也は裕実から視線を外してしまう。

「分かってますよ。　和也との約束守りますから」
「まぁ、それもあるんだけどなぁ。　もし新城が実琴をくっつく事になったら俺達の方はラブラブになれるかなぁ？　って思ってよ」
「確かにそうですね……多分」

　裕実はそう最後の方は小さな声で言うのだが、どうやら和也の耳にはちゃんと裕実の言葉が届いていたらしい。

「多分……って、どういう意味だよ？　絶対の間違いだろ？」
「ごめんなさい。　やっぱり、僕の過去の事を和也に話してしまうと、和也と離れてしまわないんじゃないかと不安なんです」
「そこそんなに深刻な事なのか？」
「和也本当にごめんなさい。　和也がそんなに聞いてきても、とりあえず、約束の時までは和也に話す事はできませんから」
「あ、ごめん……つい癖で言っちまったけど、確かに裕実の言う通り！　約束の時までは聞いちゃいけなかった事だよな？」
「はい、スイマセン」

　裕実の方は本当に申し訳なさそうにしている。

　裕実が和也に向かって言えない話というのは、そんなに深刻な話なのであろうか。

「ま、いーや……そろそ行こうか？」
「ああ、そうだな」
「そうですね」

　と三人は同時に席を立ち上がると食器をカウンターへと戻し部屋の方へと戻って行く。

　それからいつもにように仕事を終えると和也の部屋では更に実琴と新城の中で進展があったようだ。

「本宮君。　今日、一緒に食事に行かないか？」
「別に僕の方は構いませんよ」
「梅沢君も……って聞いてもきっと恋人がいるから行かないって言うだろうし、とりあえず、二人の仲を深める為には食事位はいいかな？　って思ってね。　勿論！　僕から君の事を誘ったのだから僕の方が奢るし君は心配しなくても大丈夫だよ」
「ありがとうございます」

　その二人の会話に和也は一瞬だけにやけた顔になったのだが掃除をとりあえず終わらせると着替えを急いで隣の部屋に居る望達の所へと向かう。

「よっし！　あの二人がいい感じなんですけどー！」

　望の部屋に入って来て早々にそうでかい声で言う和也に対し、