上 下
1,186 / 2,140

ー崩落ー66

しおりを挟む
「なんだよー。 明日までいらなかったんじゃねぇのか? このお風呂の事だけで分かったんだからよ」

 和也の方は再び手を叩くとベッドの上へと横になる。

 すると、その和也が叩いた合図が届いたのか届いてないのかは分からないのだけど、丁度、裕実がお風呂から上がって来た。 そして和也がいるベッドへと向かうと今日は和也の方ではなく反対側を向いてしまう。

 そんな裕実の行動に和也は裕実の後ろから抱き締めるのだ。

「なぁ、裕実……もう、望の気持ちにならなくてもいいんだぜ。 これだけで雄介の事が分かったような気がするからさ」

 その和也の言葉に裕実は顔だけを向けて、

「僕の方も何となくですが、分かったような気がします!」
「じゃあ、答え合わせするか?」
「はい!」

 裕実はそう言うと体ごと和也の方ヘと向けて和也の事を見つめる。

「とりあえずさ、望がもう本当に雄介の事が好きならば、今の雄介は望に対して押しが弱いんだろうよ」
「僕の方もそれは思いました! だって、先に和也がお風呂に入るって言って、それで、僕は断りましたよね? で、直ぐに和也がお風呂に行ってしまってから。 僕の方は寂しく感じましたもん」
「だよな。 やっぱ、今の雄介は望からしてみたら押しが弱くて優し過ぎるのが今の望からしてみたら問題なんだろうな……」
「ですよー。 でも、それをどうやって雄介さんに伝えてあげるんですか?」
「そうだな……」

 和也はその裕実からの問いに視線を天井の方へと向ける。

 部屋内はもう電気は消され闇の世界へとなってしまっているのだが、それが逆に考え事にはちょうどいいのかもしれない。

「あのさぁ、答えは分かったんだからさ、後は行き当たりばったりでいいんじゃねぇ? 明後日、雄介は病院に来てくれるって言ってたんだしよ」
「そうですね。 でも、もし、和也が雄介さんと会う事が出来なかったら?」
「大丈夫! その日はナースステーションで雄介が来るのを待ってるからさ。 そうそう! 望がいる病室に向かうためにはそのナースステーションの前を通らないといけない訳だしな」
「分かりました。 後の事は和也に任せますね。 明後日は僕の方は病室の方に行きますよ」
「そっか……さて、問題の方は解決した訳だし、マジで寝ようぜ」
「はい……」

 そして和也は裕実の体を包むようにして眠るのだ。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

社畜サラリーマン、異世界で竜帝陛下のペットになる

BL / 連載中 24h.ポイント:205pt お気に入り:469

ヒネクレモノ

BL / 完結 24h.ポイント:21pt お気に入り:20

悪役令嬢の私がシンデレラの世界で王子と結ばれる方法

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:21pt お気に入り:23

ケモとボクとの傭兵生活

BL / 連載中 24h.ポイント:35pt お気に入り:207

ここから【短編集】

BL / 完結 24h.ポイント:21pt お気に入り:14

【毎日更新】元魔王様の2度目の人生

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:391pt お気に入り:92

10代の妻を持って若い母親にさせる話①

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:491pt お気に入り:2

処理中です...